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THIS IS IT
MJ伝説ここを見る!MJスペシャリストが語る 『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』
西寺郷太さん インタビュー

Profile

1973年11月27日生まれ、東京都出身。NONA REEVESのボーカルでメイン・ソングライター。音楽プロデューサー、DJとしても活躍。日本を代表するマイケル・ジャクソン・マニアであり、各種メディアで解説や執筆をしている。著書『マイケル・ジャクソン』(講談社新書 刊)をことし3月17日に発売。

西寺郷太さん
ロックバンドNONA REEVESのボーカル、ソングライターとして活躍する西寺郷太。“日本一のマイケル・ジャクソン通”と呼ばれ、最近ではテレビ番組や雑誌の取材にもひっぱりだこだ。誰よりもマイケルを知り、こよなく愛する彼にマイケル最後の作品である本作の魅力と見どころを聞いた。

「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」を見た感想は。

「すごい映画だなぁと思いましたね。マイケルは大好きなんですけど、内心『本当にちゃんとコンサートができるのかなぁ』って思ってたんです。マイケルのライブって大掛かりなので、最低でも半年から1年かけて準備していかないといけない。そういった意味で、コンサートが本当に行われるのか疑問で。でもこの映画を見た時に、相当なところまでできていたことに関して、驚きましたね。」

この映画の選曲に関しては。

『THIS IS IT』でやる曲は、ファンからアンケートを取ったらしいんです。そのアンケートで上位になった曲をやろうって。結果的には、マイケルのライブでのベスト選曲になってるんでしょうね。僕はいい選曲だと思います。それでも、やらない曲の中にもヒット曲がめちゃくちゃ多いです。1979年に出たアルバム『オフ・ザ・ウォール』からは「今夜はドント・ストップ」がダンサーのオーディションのシーンで流れるたけで、リハーサル映像の中には1曲も入っていなくて。そういう意味では『スリラー』『BAD』『デンジャラス』『ヒストリー』が根っこにある選曲です。

僕にとって印象的な曲は『ゼイ・ドント・ケア・アバウト・アス』。僕より世代が10~20歳ぐらい上の人たちは『BAD』以降の作品が全く理解できないんですよ。基本的にソウル・ミュージックの観点でジャクソン5は好きだったと思うし、『オフ・ザ・ウォール』や『スリラー』まではギリギリ理解できても、『BAD』以降のマイケルの低評価ぶり、特に紙のメディアではとんでもなかった。その中でも特に低評価だったのが『ヒストリー』のDISC2。そこに収録されているのが『ゼイ・ドント・ケア・アバウト・アス』なんです。

ところが、あれはマイケルのオリジナリティの真骨頂っていうか、とにかく盛り上がる曲。『THIS IS IT』でも軍隊が行進する映像で、人をたくさん増やすシーンがあるじゃないですか。ああいうことって、マーヴィン・ゲイにも、スティーヴィー・ワンターにも、ポール・マッカートニーにもできなかった。実にマイケル・ジャクソンらしい曲なんです。ロック、ソウル、ファンクが混ざっていて、スタジアムでめちゃ受ける。こういう曲をオーバーグラウンドに持って来たというのがすごい。『マイケル=スリラー』みたいな風潮があった中で、亡くなってからもこの曲がすごくフィーチャーされていたんで、僕的にはしてやったりというか、感激したところですね。確かにキャリア後半のマイケル、特に『デンジャラス』以降は色々とあったけれど、曲のパンチ力は実は増していたんだなってことを改めて感じましたね」

コンサート「THIS IS IT」の内容についての感想は。

「今までにマイケルのライブは生で10回以上見てるんですけど、もはや形骸化している部分があって。ライブでは同じことをずっとやっている。『ヒストリー・ツアー』を日本で何度か見た時も、盛り上がらない自分がいるというか…。マイケル自身が『スリラー』や『BAD』の売り上げ記録を抜くためのキャンペーンの一環でやっているように見えちゃったんです。そういう目で見た自分からすると、今回のライブの演出だったり、映像だったりは新鮮で、今までで一番良かった。マイケルの存在が巨大化してからのライブとしては、ありきたりなマンネリズムが取れて、なおかつ、いいものがクラシックとして新しく生まれ変わっているという感じがした。映像のCGも15~20年前とは段違いに色々なことができるようになった。
今回のライブが素晴らしいのは、ケニー・オルテガさんの手腕のおかげでもありますよね」

西寺郷太さん

映画の見どころは。

「マイケルはデビューして気がついた時には何千人、何万人の前で歌ってたんです。それからライブをやるたびに会場がデカくなって、スタジアムでやるようになっていく。でも今回は、マイケルの人生の中で初めて、数十人ぐらいの熱狂的なファンの前でパフォーマンスするチャンスをゲットできたんだと思います。ダンサーとかスタッフがマイケルのリハーサルをそばで見て盛り上がっているシーンがありますが、『ヒストリー』や『デンジャラス』、『BAD』ツアーの頃はああいう空気じゃなかったんですよ。

というのは、今まではバックダンサーもマイケルと同世代だったんで、みんなそこまでマイケルに対してフランクに接していなくて。緊迫したムードの中でスーパースターとして扱うような感じ。『THIS IS IT』のスタッフの中には、マイケルよりも20~30歳年下のダンサーなどがいっぱいいた。熱狂的な、子供の頃からマイケル・ファンという人たちが、やんや大騒ぎしながらマイケルの『ビリー・ジーン』のリハーサルを見ている。マイケルもその前で思わず思いっきり歌っちゃったりとかして、そういう顔が見えるお客さん(ダンサーたちスタッフ)の前でマイケルがエンジョイできたっていうのが『THIS IS IT』の一番素敵なとこだと思うんですよ。

メガ・スターになりすぎたゆえに感じられなくなったライブの喜びみたいな部分を、最後の最後でマイケル・ジャクソンという人が味わえた。だからこそ思いっきり歌っちゃったり、スタッフに『思いきり歌わせないでよ』なんて発言をしたり。マイケルもうれしかったと思うんですよ。『俺、こんだけ愛されている、こんな若い奴らもめっちゃ応援してんじゃん』みたいな。そこが見どころかなと。だからあのダンサーたちの存在が、僕らから見てもほっこりするというか。そういう意味でも『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』は素晴らしいなと思います」

何度も見られるJ:COM オン デマンドならではのオススメの楽しみ方は。

「最初はマイケル中心に見て、その後はダンサーなど誰か1人の気持ちになって見るのがオススメですね。視点が色々あるので。あの映画がヒットした理由は、みんなあの映画の中に入れちゃうところだと思うんです。今まではマイケルのいる世界に自分が入る余地はないだろうって思ってたのが、リハーサルを自分もたまたま見る機会があったみたいな感覚。スタッフやケータリングを目にして、マイケルとスタッフの会話を聞けてしまうという感覚。それがあの映画のすごくいいところだと思う。だから自分の立場をダンサーにして見たりして何回も見ている間に、自分の視点を色々と変えて見てもらうと、面白いんじゃないかなぁと思います」

西寺さんにとって「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」とは。

「僕は二十何年間マイケルを追いかけてきて、周りからのマイケルへの評価が色々と変わっていっているところもたくさん見てきました。この映画のもうひとつのポイントは、報道とかメディアとかそういうものを改めて考えさせられるところにあると思います。同じ人間を、ある時は犯罪者、ある瞬間には神様みたいに扱うわけじゃないですか。それをフィルムに収めているのが『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』だと思うんですよ。この映画を見てマイケルに対して、『この人、全然悪い人じゃなかったかもしれない』とか、『私すごくバカにしてたんですけど、マイケルってめっちゃいい人なんだ』みたいな。今、メディアですごく悪い奴と言われている人も、もしかしたら実はいい奴かもしれない。世間で言われていることが本当なの?ってもう1回考え直す契機に、この映画はなると思うんです。悪い人かいい人かを判断する自分のコンパスを持たないことの恐ろしさを、マイケルは警告してくれているのではないかと。マイケル自身は映画の中で地球環境とか温暖化のことを言っているんだけど、そういう部分もマイケルは自分の人生をもって教えてくれたんじゃないかなぁと思っています。そして、それは事あるごとに僕も言っていかなきゃいけないなぁって」



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