「遺言はまだ早い」は要注意? 遺言超入門(体験型)セミナーレポート【2026年7月12日開催】

公開日: 2026年8月6日

スクリーンの前に立つ講師

【体験型セミナー】「遺言なんてまだ早い」は要注意?!「遺言」超入門

「遺言」と聞くと、資産家や特別に財産の多い人が残すもの、というイメージを持つ方も多いかもしれません。

しかし実際には、相続トラブルの多くは、いわゆる資産家ではなく、ごく一般的な家庭で起きています。

2026年7月12日(日)、J:COM相続そうだんでは「『遺言なんてまだ早い』は要注意?!『遺言』超入門(体験型)セミナー」を開催しました。
講師を務めたのは、J:COM相続そうだんコンシェルジュの勝(すぐれ)桂子さん。

セミナーでは、相続の基本ルールや自筆証書遺言の書き方だけでなく、「なぜ遺言が必要なのか」「どんな家庭で相続トラブルが起こりやすいのか」といった実例を交えながら、遺言を残す意味について解説しました。当日の様子を、レポートいたします!

「家は同居している長男が住むだけ」では
済まないことも

セミナーの冒頭で紹介されたのは、どの家庭にも起こり得る相続の事例です。

たとえば、母親と独身の長男が一戸建ての実家で同居している家庭。ほかの子どもたちはすでに結婚して家を出ており、家族の間では「家は同居している長男がそのまま住めばいい」「ほかに分けるような財産もないから、遺言なんて要らない」と思われているケースです。

ところが、結婚して家を出た子どもたちにも、相続分や遺留分(一定の相続人に法律で保障された「最低限の取り分」のこと)を主張できる権利があります。
特に財産が「自宅不動産のみ」の場合、相続では争いが深刻化しやすいことがあります。

家の価値を子どもの数で分けることになり、遺留分はその半分まで主張される可能性があるためです。

もし遺留分に相当する額を預金や保険金で用意できない場合、住み続けていた家を売らなければならない可能性もあります。
勝さんが繰り返し伝えていたのは、「たった1枚の遺言があれば、防げるトラブルがある」ということでした。

また、遺言には「付言(ふげん)」と呼ばれる付け足しのメッセージを書くこともできます。
たとえば、同居して面倒を見てくれた子に多く残したい理由や、他の子どもたちに遺留分を要求しないようお願いする気持ちを添えることで、残された家族が納得しやすくなることもあります。

「遺言はまだ早い」は要注意? 遺言超入門(体験型)セミナーのようす

体験型セミナーでは、実際に手を動かしながら遺言について学んでいきました

遺言は、お金持ちだけのものではない!

相続トラブルというと、多くの人は「財産がたくさんある家の話」と考えがちです。
しかし、実際のデータを見ると、相続トラブルは資産家だけの問題ではないことがわかります。

実は、相続トラブルの全体の8割近くが5,000万円以下の財産をめぐるものです。
さらに、全体の3分の1以上は1,000万円以下の「ごく普通の家庭」で起きており、5億円を超える資産家の相続トラブルは、全体のわずか0.6%とされています。

つまり、相続トラブルは「特別なお金持ちの問題」ではありません。むしろ、平均的な家庭の中でこそ起こりやすいものだといえます。

相続トラブルの割合の図解

相続トラブルの多くは、5,000万円以下の“ごく普通の家庭”で起きています

その理由の一つは、財産の分けにくさにあります。

預貯金であれば分けることができますが、不動産は簡単には分けられません。実家しか主な財産がない場合、誰が住み続けるのか、売却して現金化するのか、共有名義にするのか。どの選択にも課題があります。

だからこそ、「財産が少ないから大丈夫」ではなく、「分けにくい財産だからこそ、遺言が必要になることがある」と考えることが大切です。

相続には、法律で決められた
基本ルールがある

セミナーでは、相続の基本ルールについても解説がありました。
亡くなった方に配偶者と子どもがいる場合、配偶者が2分の1を相続し、残りの2分の1を子どもたちで分けます。

子どもがおらず親がいる場合は、配偶者が3分の2、親が3分の1を相続します。親もおらず兄弟姉妹がいる場合は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1を分ける形になります。

ただし、これはあくまで民法上の基本ルールです。
遺言があれば、法定相続分とは異なる形で財産を残すこともできます。自分が誰に何を残したいのかを考え、それを法律上有効な形で残しておくことが重要です。

子どもがいない人こそ、遺言を考えてほしい理由

勝さんが特に注意を呼びかけていたのが、子どもがいない方の相続です。
子どもがおらず、親もすでに亡くなっている場合、相続人は兄弟姉妹になります。さらに兄弟姉妹が亡くなっている場合には、甥や姪まで相続人になることがあります。

一見、親族内で解決できそうに思えるかもしれません。しかし、兄弟姉妹の人数が多かったり、再婚によって親族関係が複雑になっていたりすると、相続人の数が一気に増えることがあります。
勝さんは、実際に相続人が20人以上に及ぶ事例も紹介しました。

遺言書なしで相続手続きを進めるには、法定相続人全員の署名・押印が必要になります。

その中に一人でも所在不明の人がいたり、認知症や寝たきりで意思表示できない人がいたりすると、遺産分割協議は成立しません。

もし遺言があれば、遺産分割協議をせずに手続きを進められます。

遺言は「自分のため」だけではなく、残された家族や親族の負担を減らすためのものでもあります。

遺言書で悩む家族のイラスト

子どものいない人こそ、遺言を残しておくことで親族の負担を減らせる。

相続人がいない場合、遺産が国庫へ行くことも

セミナーでは、相続財産清算人が選ばれるケースが急増していることにも触れられました。

相続財産清算人とは、法定相続人が不在、または相続人全員が相続を放棄したなど、相続人がいない場合に家庭裁判所が選任する人です。

弁護士や、司法書士などの法律専門職が選ばれることが多く、彼らが相続財産の調査や債務の清算、相続人の有無の確認などを行い、最終的な手続きを進めます。そして、清算後の遺産は国庫へ行くことがあります。

自分の財産を、誰に、どのように残したいのか。特にお子さんがいない方や、法定相続人以外に財産を残したい方にとって、遺言はその意思を実現する大切な手段になります。

自筆証書遺言を実際に書いてみる

セミナー後半では、参加者が実際に自筆証書遺言を書いてみるワークも行われました。

スクリーンの前に立つ講師

実際に、自筆証書遺言を書いてみるワークも

自筆証書遺言とは、全文を自分で手書きして作成する遺言のことです。
15歳以上で作成できますが、民法で定められた方式に従っていないと無効になることがあります。

それでも、公正証書遺言をすすめる理由

自筆証書遺言は手軽に書ける一方で、方式を間違えると無効になるリスクや、内容によっては残された人が手続きに困る可能性もあります。

たとえば、執行者を決めていなかった、住所だけを書いたら地番と違って名義変更登記ができなかった、財産を渡す予定だった人が先に亡くなってしまった、といったケースでは、せっかく遺言があっても、結局、遺産分割協議が必要になる場合があります。

公正証書遺言は、公証役場で公証人が関与して作成する遺言です。費用はかかりますが、形式の不備で無効になるリスクを抑えやすく、残された人が手続きを進めやすいというメリットがあります。

「賢い選択は、公正証書遺言」。予備的遺言、執行者、付言をつけることで、より確実な相続につながると説明されていました。

ふさわしい専門家を探すことも大切

遺言を作成する際には、内容に応じてふさわしい専門家を選ぶことも大切です。
不動産が多いなら司法書士、相続税コンサルティングも必要なら税理士、揉めそうな場合は弁護士、と整理されています。

ただし、ふさわしい専門家を探すのは一苦労です。
税理士の中でも資産税、つまり相続に長けている税理士はわずか5%とも言われ、司法書士の中でも相続実務ができる人は限られると説明されていました。

専門家の注意点をまとめたイラスト

ふさわしい専門家を探すのは一苦労

「誰に相談すればよいか分からない」という不安がある場合は、J:COM相続そうだんのような窓口を活用し、最初に相談内容を整理することも一つの方法です。

遺言は「人生の終わりの準備」ではなく、
「これからを生きるため」のもの

勝さんがセミナーの最後に伝えたのは、遺言を単なる相続手続きとして捉えないでほしい、ということでした。

「遺言は、人生の終わりに向かう作業じゃない」。

ゴールを見据えることで、人は全力投球で生きることができる。遺言は、人生を心底から謳歌するための「スタートライン」だと語られました。

まずは、誰に何を残したいのかを考えてみる。その小さな一歩が、家族を守り、自分の人生を見つめ直すきっかけになります。

和やかな雰囲気の中で、
遺言を“自分ごと”に

セミナー終了後、ご希望の方は、無料で勝さんとの個別相談の時間がありました。 相続は、十人十色です。だからこそ、「自分はどうしたらいいのだろう?」「どういうことをすれば、いちばんよいのか」を、きちんと把握することが重要です。
相続相談のようす

参加者と個別相談をする勝さん

勝さんに当日の様子について伺いました。

勝さん「今日はとても和やかな雰囲気でしたね。お茶やお菓子をご用意いただいていたこともあって、皆さんリラックスして参加されていたと思います」

当日は、参加者が実際に手を動かしながら自筆証書遺言を書いてみるワークも行われました。

堅苦しい法律講座というより、身近な悩みを共有しながら学ぶ時間になっていました。

勝さんによると、午前の部は「これから考え始めたい」という方が多く、午後の部では、すでに終活セミナーなどで学んでいると思われる熱心な方も見られたそうです。

勝さん「午後の方は、かなりしっかり財産目録を作られている方もいらっしゃいました。親御さんの相続で、ご自身がとても苦労されたという方もいらっしゃいました」
実際に相続の大変さを経験したことで、「自分の子どもには同じ苦労をさせたくない」と遺言を考え始める方も少なくないといいます。

また、勝さんが今回のセミナーで特に伝えたかったのは、一般的な遺言講座ではあまり触れられない実践的なポイントでした。
勝さん「ほかの遺言講座ではあまり扱われていないことを、セミナーの中ではお伝えしています。自筆で遺言を書いてみたことがある方にも、ぜひ一度聞きに来てほしいですね。超入門としていますが、実際にはかなり実践的な内容だと思います

セミナー後、まずやってほしいこと

では、セミナーを受けたあと、まず何から始めればよいのでしょうか。勝さんは、「聞いて終わりにしないこと」が大切だと話します。

勝さん「今日、ワークで書きかけた自筆証書遺言をそのままにせず、まずは財産目録だけでも作ってみてほしいですね。預金通帳が多いなら、使っていない口座を解約してみる。それだけでも一歩です

遺言というと、いきなり正式な書面を完成させなければならないように感じるかもしれません。しかし、最初の一歩はもっと身近なことでもよい、と言います。

通帳を整理する。
不動産や証券の情報を書き出す。
法定相続人が誰になるのかを確認する。
誰に何を残したいのかを考えてみる。

そうした小さな作業の積み重ねが、結果的に遺言の準備につながります。

勝さんは、実際に遺言があったことで手続きが円滑に進んだケースも多いと話します。

勝さん「親御さんがきちんと遺言を書いて亡くなったことで、兄弟が複数いてもすんなり進んだという声は多いです。不動産はきっちり分けられないので、どうしても揉めやすい。でも遺言があるだけで、残された家族の負担は大きく変わります」

家族信託など、次の学びにつながる質問も

個別相談の中では、家族信託に関する質問も寄せられたそうです。

※家族信託とは、遺言とは異なり、財産の管理や運用を信頼できる相手に託す制度です。認知症対策として活用されるほか、「誰に財産を引き継ぐか」を段階的に決められる場合があります。

たとえば再婚家庭など、親族関係が複雑なケースでは、遺言と家族信託を組み合わせることで希望に近い形を実現できる可能性もあります。

ただし、勝さんは「家族信託だけですべて解決できるわけではない」とも話します。

勝さん「家族信託を使う場合でも、任意後見や遺言が必要になることがあります。全部を信託すればいいというものではありません。だからこそ、きちんとした専門家につないで相談することが大切です」

相続や遺言の制度は、時代とともに変わり、相談内容も変化しています。今回のようなセミナーをきっかけに、家族信託や公正証書遺言など、次のテーマに関心を持つ方も少なくないようです。

勝さん「遺言は、話を聞くだけではなかなか自分ごとになりません。実際に手を動かしてみることで、初めて見えてくることがあります」

自宅でひとりで遺言を書こうと思っても、なかなか進まないものです。

しかし、セミナーでは講師の説明を聞きながら、実際に財産を書き出し、「誰に何を残したいのか」を考える時間があります。

遺言は、特別な人だけのものではありません。
そして、人生の終わりを考えるためだけのものでもありません。

残された家族を困らせないために。
自分の思いをきちんと言葉にするために。
そして、これからの人生をより前向きに生きるために、まずは一度、自分の財産や家族のことを整理してみることが大切です。

「自分なら誰に何を遺したいだろう」

そう考えることから、すでに遺言づくりは始まっています。

J:COM相続そうだんでは、相続や遺言に関する不安を気軽に相談できます。「何から始めればよいのか分からない」という方も、まずは一度、相談してみてはいかがでしょうか。

相続に関するセミナーを順次開催!

「J:COM 相続そうだん」では、他にも相続に関するさまざまなセミナーを順次開催しています。
ぜひ、ご参加ください。

本記事は掲載日時点の法令・制度に基づいて作成しています。法改正等により内容が変更されている場合があります。正確な情報や具体的な手続きについては、最新の法令をご確認いただくか、専門家へご相談ください。

コンシェルジュ相談

コンシェルジュ相談

経験豊富なコンシェルジュが相続の疑問や悩みにお答えします。

オンラインで、どなたでも無料でご利用いただけます。
(1カ月1回15分まで)