「セックスをすると痛い」更年期の性交痛を解説

公開日:2026年3月23日

更年期を迎えると、「セックスの時にしみるような痛みがある」「膣の乾燥が気になる」といった悩みを抱える女性が増えてきます。

加齢により女性ホルモンが減少すると、膣のうるおいが失われ、粘膜が薄くなることで摩擦による違和感や痛みが起こりやすくなるためです。性交痛は相談しにくい症状ですが、セルフケアや婦人科での治療によって軽くできる場合があります。

本記事では、更年期にみられる性交痛の原因と対策についてわかりやすく解説します。セックスの痛みでお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

「更年期以降の性交痛」
原因はエストロゲンの低下

更年期以降に性交痛が増える大きな要因は、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌量低下です*1

エストロゲンは膣内の潤いを保ち、粘膜の弾力を維持するはたらきを担っています。更年期を迎えて分泌量が不安定になると、膣の粘膜が薄く乾燥しやすくなり、摩擦による痛みを感じやすくなるのです*1 *2。性交のたびに痛みが起きるだけでなく、出血や感染のリスクも高まることがあります。

ただし、こうした症状はケアや治療で改善できる可能性があります。

セックスの痛みを和らげるケア
【ゼリー・保湿】

更年期の性交痛のセルフケア、特に膣の保湿ケアは、摩擦による痛みをやわらげるのに効果的です。

エストロゲンの低下により膣の粘膜は潤いを失いやすくなりますが、セックスの際に潤滑ゼリーを使用すれば摩擦を減らし、痛みを感じにくくなります*1 *2。ただし水性のゼリーは時間が経つと、乾いてしてしまうことがあるため、直前に使用するようにしましょう。

また、膣専用の保湿ジェルやクリームは、膣粘膜に水分を補給し、うるおいを長時間保つ効果が期待できます。こうした製品はドラッグストアや通販で手軽に入手できる点もメリットの一つです。

セックスの時に痛みがある場合は、まず潤滑ゼリーや保湿剤を試してみるとよいでしょう。ただし、症状が強く苦痛をともなう場合や、セルフケアでは十分に改善しない場合は医療機関を受診して相談することが大切です。

性交痛は婦人科で相談できる
【HRT・レーザー】

セルフケアで改善が難しい場合は、婦人科での治療を検討してみましょう。HRT(ホルモン補充療法)や膣レーザーなど、体の状態に合わせた方法を選ぶことができます。

HRT(ホルモン補充療法)

セルフケアだけでは改善しにくい性交痛に対しては、HRT(ホルモン補充療法)による治療が選択肢の一つになります。

HRTとは、減少した女性ホルモンを薬で補い、体の不調をやわらげる方法です。エストロゲンを補うことで膣の乾燥や粘膜の薄さが改善し、痛みを和らげやすくなります*1 *2。内服薬や貼り薬、膣錠などを使ってホルモンを補い、膣粘膜の状態を整えていきます。特に膣局所用のエストロゲン製剤は、全身への影響を抑えながら膣の環境を改善できるため、性交痛への効果が期待できます。

ただし、乳がんや血栓症の既往があるなど、注意が必要なケースもあるので、使用にあたっては医師の診察を受け、自分の体に合った方法を選ぶことが大切です。

腟レーザー治療

加齢による性交痛の新しい治療法として注目されているのが、膣レーザー治療です。

膣の粘膜にレーザーを照射し、コラーゲンの産生や血流を促すことで、乾燥や萎縮を改善し、痛みを和らげる効果が期待できます。保湿剤や潤滑ゼリーで補っても十分に性交痛が改善しない場合、レーザー治療で粘膜を再生させることで、症状が軽くなるケースがあります。

実際に、数回の照射を行うことで膣粘膜の厚みや水分量が改善し、性交時の痛みや乾燥感が軽減したと報告されています。治療は外来で受けられ、所要時間も短く済むことが一般的。

ただし、効果の持続には個人差があり、保険が適用されない自由診療となる点には注意が必要です。こうした特徴を理解したうえで、HRTなど他の治療法と比較しながら検討することが大切です。

セックスの痛みに悩んでいるときは、我慢せず思い切って婦人科で相談し自分に合った方法を選びましょう。

立岩 奈緒

執筆者

立岩 奈緒

看護師・医療コラムライター

看護師として、9年間病院で勤務。
血液内科・神経内科・整形外科・婦人科外科・泌尿器科を経験。
現在は3児の母として家事・育児に奮闘しながら、Webライターとして医療・健康に関するコラムの執筆をしています。
読者の皆さまが抱える悩みや不安に寄り添い、少しでもお役に立てる情報をお届けできれば幸いです。

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テレビ・雑誌などメディア出演多数!Inaba Clinic 院長 稲葉可奈子

産婦人科専門医/医学博士

京都大学医学部卒業後、東京大学大学院にて医学博士号を取得。
「産婦人科を受診するハードルを下げたい」という思いから、2024年渋谷にクリニックを開業。 双子を含む4人の子どもを育てながら、テレビやネットニュースなど各種メディアにもコメンテーターとして出演している。
著書に『シン・働き方 ~女性活躍の処方箋~』があり、 SNS総フォロワー数3万人の「医療インフルエンサー」としても情報発信を続けている。