ひどい動悸・息切れは更年期症状?対策はある?

公開日:2026年4月6日

階段を上ったわけでもないのに、心臓がドキドキと激しく打ったり、息苦しさを感じたり……このようなことはありませんか?
これらは、更年期に多く見られる症状の一つです。

今回は、更年期に動悸や息切れが起こる原因と、日常生活でできる対策についてご紹介します。

更年期に「動悸・息切れ」が起きる理由

更年期になると、卵巣の働きが低下し、エストロゲン(女性ホルモン)の分泌が不安定になります*1

エストロゲンは血管の調整や自律神経のバランスを保つ役割を担っています。
自律神経は、交感神経と副交感神経の2つから成り立ち、心拍や呼吸などをコントロールしています。

エストロゲンが減少すると、このバランスが乱れ、交感神経が優位になりやすくなります。
その結果、安静にしていても心臓がドキドキしたり、呼吸が浅くなって息苦しさを感じたりすることがあります。
さらに、精神的なストレスや不安も自律神経に影響し、症状を強める要因となります。

また、ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)と同時に動悸が起こるケースも少なくありません。
急に体が熱くなると、体温を下げるため血管を広げて熱を外に逃がそうとします。そのとき、血液をたくさん流すために心拍数が上がり、その変化を「動悸」として感じるのです。

要注意!更年期以外の病気の可能性

動悸や息切れは更年期の症状として知られていますが、必ずしも更年期だけが原因とは限りません。特に注意したいのは心臓や甲状腺の病気です。

不整脈や狭心症、心筋梗塞といった心臓の病気でも、動悸や息切れの症状があらわれます。
動悸に加えて、胸の痛みや圧迫感、冷や汗を伴う場合は、すぐに医療機関を受診してください。

甲状腺機能亢進症(甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気)も、動悸や息切れを引き起こします。
手の震え、体重減少、体のほてりといった症状が一緒にあらわれることが多いと言われています*2。更年期と症状が重なるため、見逃されやすい病気でもあります。

さらに貧血やパニック障害なども、動悸や息切れの原因となります。

症状が頻繁に起こる、日常生活に支障が出るほどひどい場合は、自己判断せず医師に相談しましょう。

動悸・息切れ対策【腹式呼吸・ツボ・漢方】

更年期による動悸や息切れには、日常生活で取り入れられる対策がいくつかあります。
無理なく続けられる方法を試してみましょう。

1.腹式呼吸

動悸や息切れを感じるときは、呼吸が浅く速くなっているかもしれません。そんなときにおすすめなのが、腹式呼吸です。副交感神経が優位になり、心身がリラックスしやすくなります。

まず、背筋を伸ばして楽な姿勢をとり、鼻からゆっくり息を吸い込みましょう。
このとき、お腹がふくらむのを意識します。
次に、口からゆっくりと息を吐き出してください。
吐く時間は吸う時間の約2倍を目安にすると効果的です。

1日数回、数分間行うだけでも心拍数が落ち着きやすくなるでしょう。

2.ツボ

東洋医学では、体の特定の場所を刺激することで不調を和らげられると考えられています。

動悸や息切れには、次のツボ押しを試してみるのも一つの方法です。

内関(ないかん)は、手首の内側、シワから指3本分ひじ側に上がった場所にあります。
ここを反対側の親指でやさしく押すと、自律神経が整いやすいとされています。

神門(しんもん)は、手首の小指側、骨と腱の間のくぼみです。
ストレスや不安による動悸に効果があると言われています。

ツボ押しは強く押しすぎず、痛気持ちいい程度の力加減で行いましょう。

3.漢方

体質や症状に合わせて選ばれる漢方薬は、更年期の不調をやわらげる手助けになります。
動悸や息切れに使われる代表的な漢方には、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)や加味逍遙散(かみしょうようさん)などがあります。

  • 柴胡加竜骨牡蛎湯:不安感やイライラを伴う動悸に用いられることが多い*3
  • 加味逍遙散:のぼせや不眠など複数の更年期症状がある方に適している*4

ただし、漢方薬は体質によって合う・合わないがあるため、自己判断は禁物です。
医師や薬剤師などの専門家に相談し、自分に合った処方を選ぶようにしましょう。

更年期の動悸や息切れは、多くの女性が経験する心と体のサインです。無理をせずセルフケアを試しながら、必要に応じて医師に相談することで、安心して過ごすことができるでしょう。

立岩 奈緒

執筆者

立岩 奈緒

看護師・医療コラムライター

看護師として、9年間病院で勤務。
血液内科・神経内科・整形外科・婦人科外科・泌尿器科を経験。
現在は3児の母として家事・育児に奮闘しながら、Webライターとして医療・健康に関するコラムの執筆をしています。
読者の皆さまが抱える悩みや不安に寄り添い、少しでもお役に立てる情報をお届けできれば幸いです。

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テレビ・雑誌などメディア出演多数!Inaba Clinic 院長 稲葉可奈子

産婦人科専門医/医学博士

京都大学医学部卒業後、東京大学大学院にて医学博士号を取得。
「産婦人科を受診するハードルを下げたい」という思いから、2024年渋谷にクリニックを開業。 双子を含む4人の子どもを育てながら、テレビやネットニュースなど各種メディアにもコメンテーターとして出演している。
著書に『シン・働き方 ~女性活躍の処方箋~』があり、 SNS総フォロワー数3万人の「医療インフルエンサー」としても情報発信を続けている。