更年期のひどい肩こり・腰痛はいつまで続く?

公開日:2025年9月15日

更年期に入ってから、肩こりや腰痛がひどくなったと感じる方は少なくありません。女性ホルモンの変化に加え、血流の悪化やストレス、運動不足などが重なることで、痛みが強く出やすくなります。

とくに閉経前後の年代は、心身のバランスが乱れやすい時期のため早めのケアが大切です。

本記事では、更年期の肩こりや腰痛の原因とピーク時期、セルフケアの方法について詳しくご紹介します。

更年期世代が肩こり・腰痛に悩む原因は
女性ホルモン

更年期に入ると、肩こりや腰痛がひどくなったと感じる方が多くなります。

その原因の一つが、女性ホルモンのひとつである「エストロゲン」の減少です。エストロゲンには、血流を促し筋肉や関節の柔軟性を保つはたらきがあるため、更年期に入って分泌量が低下すると、血行不良や筋肉の緊張を引き起こしやすくなります*1 *2

なかでも、以下の項目に心当たりのある方は、エストロゲンの減少が影響している可能性があります。

  • 以前より肩や腰の張りが強くなった
  • 疲れがたまって抜けにくい
  • パソコンやスマホを見る時間が長い
  • ぐっすり眠れず、朝起きた時に体が重だるい

さらに、更年期世代は仕事や家庭でのストレス、睡眠の質の低下、運動不足など、体に負担をかける要因が複数重なることも。

肩や腰は、日常的に負担がかかりやすい部位です。肩こりや痛みを放っておくと慢性化し、日常生活に支障をきたすこともあります。加齢のせいにせず、ホルモンや身体の変化を知ることが、自分を労わるケアの第一歩となります。つらさを我慢せず、自分なりのリフレッシュ習慣を取り入れていきましょう。

更年期のひどい肩こり・腰痛は
何歳がピーク?

更年期症状としての肩こりや腰痛がつらく感じるピークは、一般的に50歳前半といわれています*3。女性ホルモンの分泌が急激に低下し、心身ともに不調を感じやすい時期です。

特に更年期に入る前と閉経前後は、体の変化が顕著にあらわれる傾向があります。ホルモンバランスの乱れによって血流が悪くなり、筋肉の緊張が高まることで、肩こりや腰痛などの不調が強くあらわれるのです。

また、これらの症状には日々の生活スタイルも影響します。仕事や家事の忙しさやストレス、運動不足、同じ姿勢での作業などが重なると、さらに症状が悪化しやすくなります。デスクワークやスマホを使う時間が長い方は、まずは生活スタイルを見直すところから始めてみましょう。

では、いつになったらこのつらさは落ち着くのでしょうか?個人差はありますが、多くの場合、閉経から数年経つとホルモンの変動が安定し、症状もやわらぐ傾向にあります*1。つまり、50代半ば〜後半にかけて、少しずつ回復する人が多いです。

肩こり・腰痛のセルフケア
【ストレッチ・漢方・ツボ】

肩こりや腰痛には、日々のセルフケアが効果的です。

更年期にはホルモンバランスの変化により血流が悪くなったり、筋肉がこわばりやすくなったりすると、痛みや重だるさが強くなります。日常生活のなかでできるケアを積み重ねることが、肩や腰のつらさをやわらげるポイントです。

1.ストレッチ

ストレッチで肩や背中、腰回りを軽く伸ばすことで血流が促進され、筋肉の緊張がほぐれます。毎日数分行うだけでも効果があるため、仕事や家事の合間や入浴中、寝る前などに取り入れてみましょう。ぬるめのお湯にゆったり浸かるのも、血行促進に効果的です。

2.漢方

以下の漢方薬は、肩こりや腰痛の軽減に効果が期待できるとされています。

  • 加味逍遥散(かみしょうようさん)*4
  • 芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)*5
  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)*6
  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)*7

漢方薬は、症状や体質に合わせて選ぶことが大切です。肩こりや腰痛などのつらい症状にお悩みの方は、医療機関で相談してみましょう。

3.ツボ

更年期による肩こりや腰痛には、ツボ押しも効果的です。ホルモンバランスの変化によって血流が滞ると、筋肉がこわばりやすくなります。ツボをやさしく押すことで筋肉の緊張をほぐし、痛みをやわらげましょう。

肩こりには、首の付け根と肩先を結んだ線の真ん中あたりにある「肩井(けんせい)」が、腰まわりの不調には、腰のやや上にあるツボ「腎兪(じんゆ)」などが効果的とされています。テレビを見ているときや入浴中など、日々のリラックスタイムに取り入れてみるのもおすすめです。

立岩 奈緒

執筆者

立岩 奈緒

看護師・医療コラムライター

看護師として、9年間病院で勤務。
血液内科・神経内科・整形外科・婦人科外科・泌尿器科を経験。
現在は3児の母として家事・育児に奮闘しながら、Webライターとして医療・健康に関するコラムの執筆をしています。
読者の皆さまが抱える悩みや不安に寄り添い、少しでもお役に立てる情報をお届けできれば幸いです。

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