更年期の＜食欲不振＞原因＆セルフケア

公開日：2025年11月27日

40代・50代になると「なんとなく食欲がわかない」「食後に胃が重い……」そんな不調を感じることはありませんか？

更年期は、ホルモンバランスや自律神経の乱れが影響し、胃腸のはたらきが不安定になりやすい時期です。本記事では、更年期にみられる食欲不振の原因や受診の目安、日常で取り入れやすいセルフケア方法などをご紹介します。

「吐き気・胃もたれ」
更年期の食欲不振の原因は？

更年期に入り、吐き気や胃もたれが続いて食欲がわかない……そんな不調に悩む方も少なくありません。

この背景には、女性ホルモンの減少による自律神経の乱れがあります^*1。自律神経は胃腸の働きをコントロールしているため、バランスが崩れると消化機能が低下し、食欲不振や胃もたれなどが起こりやすくなるのです^*2。

いつもと同じ食事量なのに胃が重い、食べたあと気持ち悪くなる、といった症状が続く場合は、ホルモンバランスの変化が影響している可能性があります。

食欲不振が長く続いたり、体重が急に減ったりする場合、更年期によるホルモン変化が原因とは限りません。不調の背景には別の病気が隠れている可能性もあるため、医療機関の受診を検討しましょう。

例えば、胃や腸の病気、甲状腺ホルモンの異常、うつ病などでも、食欲の低下や体重の減少がみられることがあります。特に「食事量は変わっていないのに2〜3キロ以上痩せた」「数週間以上、吐き気や胃のもたれが続いている」といった場合は注意が必要です。

「なんとなく体調がおかしい」「いつもと違う感じがする」といった違和感を覚えたときは、無理せずかかりつけの医療機関で診てもらいましょう。自己判断で様子を見続けるよりも、専門医に相談して原因を確かめることで、自分に合った対応を取りやすくなりますよ。

更年期には、ホルモンバランスの変化によって胃腸が敏感になったり、気分の波が食欲に影響したりすることも。無理をせず、自分のペースでできるセルフケアを取り入れることが、不調の改善につながっていきます。

ここでは「食事」「生活習慣」「漢方」の3つの視点から、日常に取り入れやすい対策法をご紹介します。

食欲不振が続いている場合は、無理にたくさん食べるのではなく「食べやすさ」を意識した食事を心がけてみましょう。

ホルモンバランスの変化によって胃腸のはたらきが不安定になると、食欲が落ちたり、少量でも胃もたれを感じたりすることがあります。こうした時期には、消化の良い食材や調理法を選ぶのがポイントです。

おかゆやうどん、煮込み野菜などは胃に負担をかけにくく、体を温める効果も期待できます。また、一度にたくさん食べようとせず、少量を何回かに分けてとることで、無理なく栄養をとることができます。

更年期の食欲不振をやわらげるには、生活習慣の見直しも大切です。自律神経は睡眠やストレスの影響を受けやすく、そのバランスが乱れると胃腸のはたらきも不安定になります^*2。

まずは、十分な睡眠をとること、そして毎日の生活リズムを整えることが基本です。朝はしっかり日光を浴びて体内時計をリセットし、夜はぬるめのお風呂にゆっくり浸かると、質の良い睡眠につながります。

さらに、ウォーキングなどの軽い運動を取り入れると、気分転換にもなり、食欲の回復に期待ができます。ただし、激しい運動は交感神経を刺激してかえって食欲を落とすことがあるため、無理のない範囲で続けられる方法を見つけましょう。

更年期の食欲不振には、体質に合わせて選べる漢方薬も有効です。

漢方は心身のバランスを整えることを重視しており、胃の不快感や吐き気、気分の落ち込みなど、複数の症状が重なるときにも対応しやすいのが特徴です。

例えば、冷えや疲れが気になる方には「六君子湯（りっくんしとう）^*3」、ストレスやイライラを感じやすい方には「半夏厚朴湯（はんげこうぼくとう）^*4」などが用いられることがあります。これらの漢方は消化機能を助けたり、自律神経の乱れを整えたりする効果が期待できます。

市販薬として購入できるものもありますが、体質に合っていないと、効果が出にくい場合も。まずは医療機関を受診し、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談して選ぶのがおすすめです。

参考文献

執筆者

立岩奈緒

看護師・医療コラムライター

看護師として、9年間病院で勤務。
血液内科・神経内科・整形外科・婦人科外科・泌尿器科を経験。
現在は3児の母として家事・育児に奮闘しながら、Webライターとして医療・健康に関するコラムの執筆をしています。
読者の皆さまが抱える悩みや不安に寄り添い、少しでもお役に立てる情報をお届けできれば幸いです。