自力で挑んだ不動産「相続登記」の思わぬ落とし穴。「平日に役所に行けない」会社員の私が有給休暇を使い果たした話
公開日:2026年3月30日
本記事は掲載時点の制度に基づいています。
神奈川県 Sさん(50歳・会社員)
昨年、父が亡くなり実家を相続することになった私は、「実家の名義変更くらい、自分でやれば費用も浮くだろう」という軽い気持ちから、自力で不動産「相続登記」をすることにしました。
ネットで調べると、今は必要な書類は最寄りの役所で入手でき(これが甘い考えでした……)、想定よりもハードルが低かったことも後押しになりました。ただこの時の浅はかな判断が、最終的に貴重な有給休暇を使い、自分の時間を膨大に費やすことになる果てしない苦労の始まりでした……。
自力でやった手順と事の顛末を、ここでお話しさせていただきます。
不動産「相続登記」に必要な書類と
入手方法
はじめに私は、相続登記に必要な書類とその入手先を調べました。
入手先は大きく分けて「役所の窓口」「コンビニ」「郵送」の3つでした。
ひと昔前なら、遠隔地の役所に郵送で請求しなければならなかった書類が、今は全国どこでも最寄りの役所で取得可能な「広域交付制度」があります。さらにマイナンバーカードがあれば、住民票などもコンビニで発行できます。必要書類を入手するハードルは以前よりも断然下がっています。
【役所の窓口で入手する書類】
- 被相続人(亡くなった父の)の戸籍謄本一式
「出生から死亡までの連続したすべての戸籍(除籍謄本・改製原戸籍など)」 - 被相続人の戸籍の附票、または除かれた住民票(住民票の除票)
(亡くなった父の)最後の住所地を証明するために必要ですが、亡くなった人の除票はコンビニで取得できず、役所での手続きが基本となります。
【役所、またはコンビニで入手できる書類】
- 相続人全員の戸籍謄本、住民票
相続人全員分を揃えます。 - 相続人全員の印鑑証明書
後述する「遺産分割協議書」に押印した実印を証明するために(全員分)必要です。 - 土地・建物の固定資産評価証明書
不動産がある市区町村の役所等で発行されます。
【自分(家族)で作成・用意する書類】
- 遺産分割協議書
家族で遺産の分け方を決め、作成する書類です。相続人全員が署名し、実印を押印します。 - 登記申請書
上記のすべての書類をまとめ、役所(法務局)へ提出するための最終的な申請書です。
ここが落とし穴だった!
広域交付制度があっても「自力」が大変だった4つの理由
必要な書類を集めるため、私は仕事の合間を縫って有給休暇を取り、自宅最寄りの役所へ向かいました。そこには、想像以上の壁がありました。
- 「平日の役所窓口」へ行く必要がある
広域交付は必ず申請者が役所の窓口へ出向く必要があります。仕事をしている方にとって、平日に時間を作って役所へ行くハードルは依然として高いままです。また、広域交付は当日交付してくれる役所もあれば、(オンラインなどで)事前予約制の役所もあります。私の場合、この事前予約制の役所だったので当日交付とはならず、後日、再度同じ役所に出向くことになりました。あらかじめ確認しなかった私が悪いのですが…一度の訪問で終わらず、二度手間となり精神的にも疲れました。 - 「家系図を遡る」ような専門知識が必要
広域交付で「出生から死亡まで全部ください」と言えば、窓口の担当者が探し用意してくれます。- 出てきた戸籍の束が、本当に「出生から死亡まですべての期間」を網羅しているか。
- 役所(法務局)に提出する際に、どの戸籍がどの期間を証明しているのかを把握し、正しく申請書を作成できるか。
- 制度の対象外となるケースもある
すべての戸籍が広域交付で入手できるわけではありません。電子化されていない一部の古い戸籍や、一部の自治体のデータは対象外となる場合があります。今回、父の戸籍謄本もそのケースにあたり、従来通り本籍地への郵送請求(定額小為替の同封)が必要になりました。 - 定額小為替の購入も「平日の郵便局」のみ
広域交付で取得できなかった古い戸籍や、仕事で役所に行けない場合は、本籍地がある役所へ郵送で請求します。
定額小為替を買い、書類を送る
郵便局の貯金窓口(平日16時まで)で、手数料分の「定額小為替」を購入します。請求書、本人確認書類のコピー、定額小為替、返信用封筒(切手貼付)を同封し、本籍地の役所へ送ります。
全国的に定額小為替での支払いが主流ではありますが、一部の自治体ではクレジットカード払いや、PayPayなどのキャッシュレス決裁、現金書留でも受け付けてくれる場合があるようです。小為替は1000円までの金種しかなく、1枚あたり200円もの手数料がかかります。
さらにこの後、作成した「遺産分割協議書」を遠方に住む兄弟に郵送し、実印を押して印鑑証明書を同封して送り返してもらうやり取りも必要です(これもことのほか、時間を要しました)。
とにかく一番大変だったのは、役所も郵便局も「平日の日中(夕方まで)」しか開いていないということ。会社員の私は、そのたびに半休や1日分の有給休暇を使わざるを得ませんでした。さらに悲劇だったのは、取り寄せた書類に「抜け」があることが判明したり、役所から補正(修正)を指示されたりと、何度もやり直しが発生したことです。
広域交付は非常に便利ですが、「その場ですべての戸籍が揃わない(後日再来所)」、「電子化されていない古い戸籍(改製原戸籍など)は別途取り寄せが必要」といった注意点があります。また、集めた戸籍が「被相続人が誕生してから亡くなるまでの間の、全ての身分事項を網羅しているか」を一般人だと気づくことが非常に難しいです。
司法書士に依頼すると法的に厳格にチェックし、もし漏れがあれば、必要な本籍地に個別に郵送請求を行って確実に「相続人全員」を確認してくれます。広域交付は「取りに行く」手間は減りますが、「内容が揃っているか確認する」知識は依然として専門家が必要だと実感しました。
「この書類が足りません」「ここの記載を直してください」と言われるたびに、また平日に休みを取って役所へ走る……。結果的に、気がつけば有給休暇を多く使い、本業の仕事にも支障が出そうになるほど精神的に疲弊してしまいました。
「節約した数万円」よりも
「失った時間と有給休暇」の方が重かった
すべての手続きが終わって心底思ったのは、「最初からプロや便利な代行サービスに任せればよかった」ということです。確かに自分で手続きを行えば、出費は国に納める「登録免許税」や戸籍謄本など書類発行にかかる最低限の実費に抑えることができます。
しかし数万円の費用を惜しみ自分で頑張った結果、有給休暇を多く費やし(何日分もの有給休暇は、給与換算するとそれなりの金額になります)、家族との時間も削られ、慣れない専門用語と役所の往復に心身ともに疲れ果ててしまうことを考えると、そこまで大きなメリットを感じませんでした。
2024年4月から相続登記が義務化され、期限内に終わらせるプレッシャーも加わりました。私のように「自分でやってやる!」と抱え込む前に、忙しい現役世代の方こそ、便利なサービスやプロの力を頼るべきだと思います。私のような「思わぬ落とし穴」にはまる前に、一歩踏み出してプロの方に相談してみることをおすすめします。
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本記事は掲載日時点の法令・制度に基づいて作成しています。法改正等により内容が変更されている場合があります。正確な情報や具体的な手続きについては、最新の法令をご確認いただくか、専門家へご相談ください。
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