更年期の月経はどう変わる?閉経までの変化

最近、月経が長く続いたり、周期が乱れてきたと思うことはありませんか?
月経の様子がいつもと異なると不安になる方も多いと思います。
更年期は閉経に向けてホルモンバランスが大きく変化するため、月経の量や周期が不安定になりやすくなるのです。
この記事では、更年期の月経の変化についてお伝えします。
生理が終わらない!だらだら続く!
閉経前の月経
「少量の出血が続いて止まらない」
「生理の量が急に増えたと思ったら、次は少なかった」
といったことは、実は更年期世代の女性に多いお悩み。とくに、長引く出血は心配になってしまいますよね。
そもそも、月経とは子宮内膜が剥がれ落ちる現象。月経の量は子宮内膜の厚さによって変わり、厚いと出血量が増え、逆に薄いと少なくなる傾向があります。
この子宮内膜は、女性ホルモンの一つであるエストロゲンの働きによって厚くなります。しかし、更年期になると卵巣の機能が徐々に落ち、エストロゲンが大きくゆらぎながら低下します。
その結果、ホルモンバランスが不安定になり、子宮内膜がうまく剥がれず、次のような月経の変化があらわれやすくなります。
- 月経が長引く
- 月経の量が増える
- 月経の量が減る
更年期はホルモンバランスが不安定な時期のため、こうした変化も月によってばらつきがみられます。
周期がバラバラ…
閉経したかどうか分からない
更年期では月経の量だけではなく、月経周期が安定しないといった心配のお声もよく聞きます。月経不順が続くと、閉経したのか気になる方も多いでしょう。
更年期は月経周期が定まりにくいため分かりづらいですが、1年間、月経が来ていない状態であれば「閉経」と判断されます
閉経までの月経周期の変化には個人差はありますが、多くみられるパターンをご紹介します。
1. 40代に入り月経周期が短くなる
卵巣機能が低下すると、脳がエストロゲンを増やそうとして、FSH(卵胞刺激ホルモン)の分泌が増えるようになります。
その結果、卵胞の成長が早まり、月経周期が短くなることがあります。
2. 無排卵月経がときどきある
40代では、排卵を伴わない無排卵性月経が増える傾向があります。
無排卵月経は、月経不順や不正出血、月経の量や期間が不規則になるという特徴があります。
閉経前の2〜8年は月経周期が長くなり、こうした変化が続くとされています*1。
3. 月経の頻度が減る
さらに閉経が近づくと頻繁にきていた月経が飛び飛びにくるようになり、いつ来るか分からない不安定な状態になります。
4. 1年間月経がこない状態になる
これがいわゆる「閉経」の状態です。閉経とは、月経が永久に停止した状態をさします。
ただし、月経が止まった時点で閉経と診断するのは難しいため、12カ月以上の月経がこない状態を確認することにより診断されます*1。
「鮮血が止まらない」
こんな変化は婦人科へ
更年期は月経の量や周期が不安定になりがちですが、必ずしも生理的な変化だけとは限りません。40代は子宮筋腫や子宮腺筋症や子宮頸がんなどの婦人科系の病気が増える時期にもなるため注意が必要です。
以下のような変化があった場合は、病気が隠れていないか婦人科で確認しましょう。
- 月経の量が多い:ナプキンが1時間もたない、500円玉大のレバー状の塊が混ざる、貧血のような症状がある
- 月経の期間が長い:8日以上出血がつづく
- 不正出血がある:月経以外の出血
これらの症状が見られたら、その出血の原因となっている病気を見逃さないことが大切です。とくに鮮血が止まらない場合は貧血のリスクもあるため、注意しましょう。
ふだん月経の量や期間は人と比べにくいものです。不安な場合は、1人で悩まずに婦人科で相談しましょう。
参考文献
- 女性医学ガイドブック更年期医療編2019年度版 日本女医学学会編

執筆者
白石 さつき
薬剤師
婦人科系製薬メーカーや調剤薬局での勤務を経て、医療系ベンチャー企業にて遠隔医療相談業務や医療コラムの執筆に従事。 自身の不妊症と不育症の経験を元に、不妊に悩む人への個人カウンセリングも行う。
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