更年期の始まりにはどんなサインがある?

公開日:2025年7月31日

更年期の始まりには、生理周期の乱れや急なほてり、イライラ感、睡眠トラブルなど、心や体にさまざまな変化がみられます。

しかし、これらの症状には個人差があり、徐々にあらわれるため、自分自身では気づきにくいことも。特に30代後半〜40代半ばは「プレ更年期」と呼ばれ、更年期に似た不調が出ていても「年齢的にまだ早い」と原因が分からないまま体調不良に悩む方もいます。

本記事では、そんな更年期の初期サインやご自宅で簡単にできるチェック方法を詳しく解説します。

「プレ更年期」とはいつのこと?

「プレ更年期」とは一般的に、女性ホルモン(エストロゲン)が徐々に減り始める30代後半〜40代半ばの時期を指します。医学的な定義はないものの、更年期に入る前段階として心身の不調を感じる女性が多い時期です。

35歳をすぎる頃から、徐々に卵巣機能は低下し、エストロゲンの分泌が不安定になります。それに影響されて自律神経のバランスが崩れやすくなり、さまざまな症状を引き起こします。

具体的な症状として、以下のようなものが挙げられます*1 *2

  • 生理不順
  • 疲れやすさ
  • 気分の落ち込み
  • イライラ感
  • ほてり
  • 冷え
  • 睡眠トラブル
  • 肩こり
  • 頭痛

「最近、理由もないのに気分が落ち込む」「寝付きが悪くて疲れがとれない」といった症状に心当たりのある方は、プレ更年期に入っている可能性があります。

こうした心身の不調は更年期症状と似ていますが、年齢的にまだ更年期とは考えにくいため、自分でも原因が分からず戸惑う女性も少なくありません。心や体に変化を感じたら、無理をせず早めのケアを心がけましょう。

更年期が近づくと生理はどう変化するのか

更年期が近づくと、生理の周期や経血量などにさまざまな変化があらわれます。これは卵巣の機能が徐々に低下し、女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)の分泌が不安定になるためです*1

具体的には、生理周期が短くなったり、反対に長くなったりと一定でなくなり、経血量も周期ごとに多くなったり少なくなったりするほか、不正出血が起こる場合もあります。また、今まで規則的だった生理が不規則になったり、逆に月に2回も生理がきたり、経血量が急に増えて日常生活に支障が出る人もいます。さらに、生理の日数が短くなる場合や、逆にだらだらと長引くケース、生理痛がひどくなったと感じる人も珍しくありません。

こうしたプレ更年期の症状には個人差がありますが、更年期に向けた自然な体のサインです。しかし、中には原因に病気が隠れていることもあるため、生理の乱れが続き、体調面や精神面で不安を感じている方は、一人で悩まず早めに専門家に相談することが大切です。

更年期の始まりかどうかを
チェックする方法とは

ご自身の身体にあらわれている症状が更年期症状かどうかを確認するには、簡略更年期指数(SMI)を使ったチェックが効果的です。更年期に起こる症状は人それぞれで、自覚しにくいものもあるため、客観的な指標を使うことで正確に判断しやすくなります。

SMIとは、更年期に特徴的な症状であるほてりや汗のかきやすさ、睡眠トラブル、イライラ感などの項目を自分で採点し、症状の重さを数字で評価するチェック方法です*3。生理周期の乱れや疲れやすさ、不眠、理由のはっきりしない不安感や動悸などの症状が目立つようになったら、一度このようなチェックを試してみるとよいでしょう。点数が高いほど更年期である可能性が高く、婦人科への相談を検討する目安になります。

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心身の不調が気になるときは一人で悩まず、婦人科などの医療機関で早めに相談しましょう。具体的な診断を受けることで、症状の改善に向けた適切なケアや治療を受けられます。

参考文献

  1. 公益社団法人 日本産科婦人科学会
  2. 日本女性医学学会
  3. 小山ら 更年期婦人における漢方治療:簡略化した更年期指数による評価
    (1992:9:30-34 産婦人科漢方研究のあゆみ)
立岩 奈緒

執筆者

立岩 奈緒

看護師・医療コラムライター

看護師として、9年間病院で勤務。
血液内科・神経内科・整形外科・婦人科外科・泌尿器科を経験。
現在は3児の母として家事・育児に奮闘しながら、Webライターとして医療・健康に関するコラムの執筆をしています。
読者の皆さまが抱える悩みや不安に寄り添い、少しでもお役に立てる情報をお届けできれば幸いです。

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