更年期の汗はホットフラッシュが原因?夏の汗対策

公開日:2025年8月14日

更年期に入り、突然顔や頭から汗が吹き出すようになった……そんな変化に戸惑う方も多いのではないでしょうか。

ホットフラッシュによる汗は、自律神経やホルモンの乱れが関係しています。本記事では、更年期の汗の特徴から、日常でできる対策と治療法までをわかりやすくご紹介します。

「頭からポタポタ」
更年期の汗のかきかたの特徴

更年期の汗は、「頭からポタポタ」と落ちるように出ることが多いのが特徴です。体温調整を担う自律神経の乱れによって、頭部や顔、首周りなどの上半身を中心に、急に大量の汗をかくことがあります*1 *2

なかには、室内でじっとしていても頭皮から汗が流れ落ちたり、髪が濡れるほど汗をかいたりする場合もあります。

こうした汗のかき方は体の異常ではなく、更年期にみられる生理現象の一つです。

なぜ更年期には滝のような汗が出る?

更年期には、まるで滝のような汗をかくことがあります。これは、女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少することで自律神経のバランスが乱れ、体温調節がうまくいかなくなることが原因です*1 *2

顔や上半身に汗をかきやすく目立ちやすい症状のため、外出や人と会うことをためらうなど日常生活に支障をきたすケースも。汗の量や出るタイミングには個人差があるため、まずは婦人科や更年期外来で相談し、自分に合った対策を見つけていきましょう。

更年期の汗を止めたい!4つの対策

時間や場所に関係なく突然あふれる汗に、お悩みの方は少なくありません。ここでは、毎日の生活に取り入れやすい対策と、医療機関で受けられる代表的な治療法をご紹介します。

1.腹式呼吸

更年期の汗対策には、腹式呼吸を取り入れてみましょう。

呼吸が浅くなると自律神経が乱れやすく、ホットフラッシュや大量の汗を引き起こす可能性が高まります。腹式呼吸を行うことで副交感神経が優位になり、心と体が落ち着いて汗もおさまりやすくなります。

やり方は簡単で、背筋を伸ばし、おなかをふくらませるように息を吸い、ゆっくりと吐き出すだけ。数回くり返すことで、リラックス効果が高まります。通勤中や寝る前など、ちょっとした時間に取り入れやすいのもポイントです。

2.ツボ

更年期の汗対策として、ツボ押しを取り入れてみるのもおすすめです。

ホットフラッシュや汗の原因の一つは、自律神経の乱れです。ツボを刺激することで自律神経のバランスを整え、更年期特有の症状を抑える効果が期待できます。

例えば、手の甲にある「合谷」は自律神経を整え、ほてりや発汗をやわらげるのに効果があるとされます。

また、手首の内側にある「内関」は、緊張や不安をやわらげ、心を落ち着かせるはたらきがあります。

親指でゆっくり押しながら、深呼吸をくり返すとより効果的です。

3.冷やす

汗が吹き出しそうなときは、体を冷やすのも効果的です。

ホットフラッシュが起きると、急激に体温が上がったように感じ、顔や上半身から汗が吹き出します。そんなときは、保冷剤や冷やしたタオルなどで首の後ろや脇の下を冷やしてみましょう。太い血管が通る部分を冷やすことで、体全体の熱が下がりやすくなります。

ただし、保冷剤や氷などを直接肌に当て続けると、凍傷を起こすおそれがあります。タオルに包んでから肌に当てる、短時間にとどめるなどして、冷やしすぎには十分注意しましょう。

4.治療【ホルモン補充療法・漢方療法】

汗がたくさん出てつらいときは、医療的な治療を検討するのも一つの選択肢です。

ホルモン補充療法(HRT)とは、減少した女性ホルモン(エストロゲンと黄体ホルモン)を補うことで、ホットフラッシュや発汗などの症状緩和を目指す治療法です*1

内服薬のほか、貼り薬やジェルなどさまざまなタイプがあり、ライフスタイルや体調に応じて選ぶことができます。副作用のリスクもあるため、治療を始める際は、専門の医師とよく相談することが大切です。

もう一つの選択肢が、体質や症状に合わせて処方される漢方療法です。更年期の汗やほてりには、自律神経やホルモンのバランスを整える作用があるとされる漢方薬が使われます。

例えば、イライラや不眠をともなう場合には「加味逍遙散(かみしょうようさん)*1 *3」、動悸や不安感が気になる方には「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)*4」などがよく用いられます。体質に合わないと十分な効果が得られないこともあるため、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談しながら選ぶようにしましょう。

立岩 奈緒

執筆者

立岩 奈緒

看護師・医療コラムライター

看護師として、9年間病院で勤務。
血液内科・神経内科・整形外科・婦人科外科・泌尿器科を経験。
現在は3児の母として家事・育児に奮闘しながら、Webライターとして医療・健康に関するコラムの執筆をしています。
読者の皆さまが抱える悩みや不安に寄り添い、少しでもお役に立てる情報をお届けできれば幸いです。