更年期に入ってコロコロ便秘に悩むワケ

公開日:2025年8月28日

更年期に入ると、ホルモンバランスの変化によって、便秘に悩む女性がふえてきます。特に「コロコロとした硬い便が出る」「お腹が張って苦しい」といった症状があらわれやすくなるのが特徴です。

女性ホルモンの分泌が減ることで自律神経が乱れ、腸の動きが鈍くなってしまうことが関係しています。便秘は放置すると慢性化することもあるため、早めの対処が重要です。

本記事では、更年期の便秘の原因と対策についてわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

40代・50代が便秘になりやすいのは
女性ホルモンが関係

40代・50代女性の便秘には、女性ホルモンの変化が大きく関係しています。更年期にさしかかると、エストロゲンという女性ホルモンの分泌量が不安定になり、それにともなって自律神経のバランスも崩れやすくなります。自律神経は腸のぜん動運動を調整するはたらきがあるため、自律神経のリズムが乱れると腸の動きが鈍くなり、便秘を引き起こしやすくなるのです*1

具体的には、
「これまでは毎日排便があったのに、急にお腹が張るようになった」
「コロコロとした硬い便が続いている」
といった症状に悩む方が増えてきます。

さらに、ストレスや運動不足、食事の偏り、加齢による筋力低下などが重なると、便秘が慢性化することもあります。

このように、更年期の便秘は、ホルモンバランスや自律神経の乱れと密接に関係しています。更年期には、腸内環境を整える生活習慣を意識することが大切です。

更年期の便秘解消セルフケア

便秘を改善するために、まずはご自宅で簡単にできるセルフケアから始めてみましょう。

更年期に入ると女性ホルモンの分泌量が変化しやすくなり、それにともなって腸の動きが鈍くなることがあります。自然な腸の動きを促し、腸内環境を整えるには、日々の生活習慣を見直してみましょう。

朝起きたときに常温の水をコップ一杯飲むと、腸をやさしく刺激し、排便を促すことができます。ストレッチやウォーキングなどの軽い運動を取り入れることや、食物繊維を意識してとることも効果的です。

また、発酵食品や水溶性食物繊維を含む食材(納豆やわかめ、バナナなど)を使った、バランスの良い食事を心がけましょう。加えて、毎日決まった時間にトイレに行く習慣を身につけることで、排便リズムが整いやすくなります。

無理なく続けられるセルフケア方法を日常に取り入れ、少しずつ便秘の改善を目指しましょう。それでも改善がみられない場合は、早めに医療機関へ相談することをおすすめします。

【漢方・下剤】市販薬の選び方

便秘によるお腹の張りや不快感が気になるときは、市販の漢方薬や下剤の活用を検討してみましょう。更年期の便秘はホルモンバランスの変化が原因となることが多く、生活習慣を見直すだけでは改善が難しい場合もあります。

更年期特有の症状に対して使われる漢方薬の代表例は、
● 大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)*3
● 桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)*4
● 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
などがあります*2

漢方薬は体質や便の状態に合わせて選ぶことで、より効果があらわれると言われているので、医師や薬剤師に相談して選びましょう。

市販の下剤には、便をやわらかくして排便しやすくする「酸化マグネシウム」や、腸を刺激することで排便を促す「センノシド」などの成分を含む製品が市販されています。

ただし、腸を刺激するタイプの下剤は、慢性的な便秘の改善には向いていません。便秘にともなうつらい症状の改善には役立ちますが、長期連用は避け、用法用量を守って使用することが大切です*5。市販薬の選び方に迷ったら、薬局やドラッグストアの薬剤師に相談してみましょう。

便秘が長く続く場合は、医療機関で相談し、自分の体質や症状に合わせた治療を受けるようにしてください。

立岩 奈緒

執筆者

立岩 奈緒

看護師・医療コラムライター

看護師として、9年間病院で勤務。
血液内科・神経内科・整形外科・婦人科外科・泌尿器科を経験。
現在は3児の母として家事・育児に奮闘しながら、Webライターとして医療・健康に関するコラムの執筆をしています。
読者の皆さまが抱える悩みや不安に寄り添い、少しでもお役に立てる情報をお届けできれば幸いです。