ホルモン補充療法(HRT)で更年期症状を改善
公開日:2025年10月9日

更年期にさしかかると、ほてりやイライラ、不眠など、心身の不調に悩まされる方が増えてきます。
こうした更年期特有の症状をやわらげる方法として注目されているのが、ホルモン補充療法(HRT)です。女性ホルモンの減少による不調を根本からケアできる治療法として、多くの医療機関で取り入れられています。
本記事では、ホルモン補充療法の効果や種類、気になる副作用や費用面についてわかりやすく解説していきます。
更年期症状にホルモン治療が有効なワケ
更年期のつらい症状には、ホルモン治療が効果的とされています。更年期の主な不調は、女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少によって起こるためです。ホルモンのバランスが崩れることで、ホットフラッシュやイライラ感、不眠、関節のこわばりなど、さまざまな心身の不調があらわれます*1 *2。
そこで役立つのが、体内のエストロゲンを補うホルモン補充療法です。ホルモン補充療法によって不足したホルモンを補うことで、症状が改善され、生活の質が向上する可能性があります。例えば、のぼせや発汗が減って睡眠の質が上がったり、気分の浮き沈みが軽くなったりといった効果が期待できます*1 *2。
更年期の不調を根本的に改善したい方は、ホルモン補充療法も一つの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。
ホルモン補充療法の種類
【飲む・貼る・塗る】
ホルモン補充療法には、飲む・貼る・塗るといった複数の方法があります。それぞれに特徴があり、体調やライフスタイルに合せて選べるのが魅力です。
1.飲む
飲み薬でのホルモン補充療法は手軽に始められ、毎日決まった時間に服用するという分かりやすい管理方法がメリットです。
しかし薬の成分は、腸管から吸収された後に肝臓を通るため、肝臓へ負担をかけてしまうデメリットもあります。
2.貼る
皮膚に貼るタイプのホルモン補充療法は、体への負担を抑えながらホルモンを補える治療法として注目されています。飲み薬に比べて肝臓への影響が少ないとされ、消化器への負担が気になる方に選ばれることの多い方法です。
具体的には、テープタイプのお薬を、下腹部などの決まった部位に貼ります。週に1〜2回貼り替えるだけで済むため、飲み忘れが心配な方にもおすすめです*3。
これらの特徴から、貼るタイプの治療法は、使いやすさと身体へのやさしさを両立できる選択肢といえるでしょう。
ただし、パッチを貼ることで、皮膚のトラブルが生じることがあるのがデメリット。皮膚が弱い人は、少し注意が必要です。
3.塗る
肌に直接塗るタイプのホルモン補充療法は、必要なホルモンを皮膚からゆっくりと吸収させる方法です。血中濃度を安定させやすく、貼るタイプと同様、肝臓への負担が少ないのが特徴です。
ジェルやクリームを腕や太ももに毎日塗るだけでケアができ、使い方もシンプル。自分に合ったペースで長く続けられる方法として、選ばれています。
塗り薬は基本的にエストロゲン製剤しかないため、子宮がある女性は黄体ホルモンの飲み薬を併用する必要があります。
副作用は?保険適用?デメリットは?
ホルモン補充療法では、副作用として不正出血や胸の張り、吐き気などの症状がみられることがあります。また、血栓症の発症リスクが高まるとされており、脳卒中や心筋梗塞などにかかったことがある人は使用できない場合もあります*1。副作用やリスクについて、治療を開始する前に医師としっかり相談し、ご自身に合った方法を選ぶようにしましょう。
費用面では、更年期障害と診断されれば、ホルモン補充療法が保険適用されるケースも多く、自己負担額を抑えて治療を受けられる可能性があります。ただし、美容目的や自由診療扱いとなるケースでは保険が適用されないため、費用については事前に確認しておきましょう。
ホルモン補充療法にはメリットもありますが、副作用や費用面についても知っておくことが大切です。こうした点をしっかり理解したうえで、自分に合った方法を選ぶことが、安心して治療を受けるためのコツといえるでしょう。

執筆者
立岩 奈緒
看護師・医療コラムライター
看護師として、9年間病院で勤務。
血液内科・神経内科・整形外科・婦人科外科・泌尿器科を経験。
現在は3児の母として家事・育児に奮闘しながら、Webライターとして医療・健康に関するコラムの執筆をしています。
読者の皆さまが抱える悩みや不安に寄り添い、少しでもお役に立てる情報をお届けできれば幸いです。
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