10代のお子さんを持つ方へ。思春期の生理について

公開日:2025年10月30日

はじめに:子どもの成長と生理について
知っておきたいこと

思春期の子どもを持つ親にとって、子どもの身体がどのように変化していくのか、気になる方も多いのではないでしょうか。特に生理は重要なライフイベントの一つであり、適切な知識とサポートが必要です。

生理は決して恥ずかしいことではなく、健康的な成長の証です。保護者が思春期の生理について正しい知識を持つことで、安心して大人への階段を登れるようサポートすることが大切です。

また、生理の状態は心と体の健康を知るための大切なバロメーターでもあります。普段と違う症状に気づいたときには、見過ごさず、必要に応じて医療機関を受診することも大切です。

1. 思春期の生理の特徴

思春期の生理には、大人とは異なる特徴があります。これらを理解することで体調変化に適切に対応できるでしょう。

女の子には、思春期を迎える前の8〜9歳頃から胸が膨らみ始めたり、身長が伸びたり、おりものがで始めるなどの第2次性徴が見られます。これらは生理が始まる前兆なので、変化が見られたら生理用品を準備しておくと安心です。また、生理についての基礎知識や生理用品の使い方を確認するのも良いでしょう。

また、日本人女性の平均初経年齢は12歳2か月です。個人差はありますが、多くの女性が14歳ごろまでに初めての生理を迎えます。思春期の生理は数年間周期が安定せず、ほとんどが「無排卵性月経」です。また、経血量にもばらつきがあります。

これらの変化は、思春期に見られる正常な成長の過程であり、過度に心配する必要はありません。周期が安定し排卵をともなう生理に移行するまでには個人差があるため、焦らずに見守ることが大切です。

参考:

2. 生理にまつわるよくある不安と対応

思春期の子どもは、生理を迎えることでさまざまな不安を感じることがあります。そのときに備えて、どのような症状があらわれるのか、そしてそれにどう対応すればよいのかを、あらかじめ知っておくことが大切です。

症状 正常な範囲の例 受診を検討すべきサイン
生理痛 軽い下腹部痛や腰痛
日常生活に支障がない程度の痛み
鎮痛薬が効かない
学校を休むほどの強い痛み
出血量の
変化
月によって多かったり少なかったりする
ナプキンの交換が数時間ごとで済む
1時間ごとにナプキンを替える必要がある
生理以外の不正出血がある
生理周期の
不規則さ
初経から数年間は不安定
(2~3か月来ない、月に2回来るなど)
3か月以上生理が来ない
15歳を過ぎても初経がない

勉強や部活動などで時間がなかったり、生理のことを伝えるのに恥ずかしさを覚えたりすることもあるでしょう。このように、婦人科受診に心理的なハードルを感じる場合には、オンライン診療という選択肢もあります。

参照:

3. 日常生活での注意点

思春期の生理は予測しにくいため、日常生活での備えが重要です。特に授業や部活動、修学旅行などの行事を楽しめるよう、保護者による事前の準備と心構えが必要です。

基本的な生理用品の準備

  • 昼用ナプキン(普通の日用・多い日用)
    • 羽つき、羽なしがあります
  • 夜用ナプキン(就寝時や長時間の使用に)
  • おりもの専用のシート(いつものショーツに付けて使います)
  • 生理用ショーツ(クロッチ部分が二重構造で、ナプキンの羽がしまえるため安心です)
  • 黒など経血が目立たない色の下着

緊急時の対応グッズ

  • 替えの下着
  • 携帯用の鎮痛薬
  • 小さめのビニール袋(使用済みナプキンの処理用)
  • ウェットティッシュ

4. 親としてできるサポート・
知っておくと良い対処法

思春期の子どもをサポートするには、まず正しい知識を持つことが大切です。生理痛がある場合は、早めに鎮痛剤を使い、長引くようなら受診を勧めましょう。お腹を温めたり、下半身の軽いストレッチで血流を良くするのも効果的です。

無理なダイエットも生理痛を悪化させる原因のひとつです。タンパク質や鉄分、ビタミンをしっかり含んだバランスの良い食事を意識することが大切です。

また「生理痛、つらいときは我慢せずに伝えてね」と声をかけるだけでも、子どもに安心感を与えられます。さらに生理用品を取りやすい場所に準備し、正しい使い方や生理周期の記録方法を教えておくと、より心強いサポートになります。

5. まとめ:親の理解が子どもの健康と
自己肯定感を育む

思春期の生理は子どもにとって身体的にも精神的にも大きな変化です。子どもの健康と自己肯定感を育むために、保護者が正しい知識を持ち、適切なサポートを提供することが何より大切です。不安な点があれば、一人で悩まず、医療機関や専門家に相談することをおすすめします。子ども自身が自分の身体と向き合い、健康に成長できるよう温かく見守りましょう。