更年期は膀胱炎になりやすい?予防法&対策を解説

公開日:2026年2月2日

トイレに行くたびに痛みを感じたり、さっき行ったばかりなのにまた行きたくなったり。
40代・50代になってから「膀胱炎」を繰り返すようになったという方は少なくありません。

実は更年期を迎えると、体の変化によって膀胱炎になりやすくなることがあるのです。

今回は、閉経前後に膀胱炎が起こりやすくなる理由と、日常でできる予防法についてお伝えします。

閉経前後に
膀胱炎になりやすい・繰り返す理由

更年期を迎えると、膀胱炎を繰り返しやすくなる傾向があります。その大きな原因は、女性ホルモンの一つであるエストロゲンの減少です。

エストロゲンには、膣や尿道の粘膜を健康に保つ働きがあります。 このホルモンが減ることで粘膜が薄く乾燥してしまい、細菌が侵入しやすい状態に*1 *2。 膀胱炎の多くは大腸菌などの細菌が尿道から膀胱に入り込むことで起こるため*3、粘膜のバリア機能が低下すると感染リスクが高まるとされています。

また、更年期には膣の自浄作用も弱まりがちです。 通常、膣内は乳酸菌の働きによって弱酸性に保たれ、雑菌の繁殖を防いでいます。 ところが、エストロゲンが減るとそのバランスが崩れ、細菌が増えやすい環境になります。

さらに加齢によって膀胱や骨盤底筋(骨盤を支える筋肉)の働きも衰えやすくなります。 その結果、排尿後に尿が残りやすくなり、残った尿が細菌の温床となって膀胱炎を繰り返す一因になることがあるのです。

排尿痛・頻尿・残尿感・血尿|
膀胱炎の症状&治療

膀胱炎の代表的な症状は、排尿時の痛みや灼熱感です。しみるようなヒリヒリした痛みを感じることが多いと言われます。

頻尿も特徴的な症状のひとつで、1日トイレに行く回数が増えます。 特に、少量しか出ないのにすぐまた行きたくなる、トイレに行った後もスッキリしない残尿感があるといった場合は、膀胱炎の可能性が考えられます。 さらに悪化すると、尿が白く濁ったり血尿が出たりすることも*3。 下腹部の重苦しさや不快感を伴うこともあるでしょう。

膀胱炎が疑われる場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。 尿の状態を詳しく観察することで診断がつき、原因に合わせた適切な抗菌薬が処方され数日間服用することで症状は改善していきます*3。 ただし、自己判断で薬の服用をやめてしまうと、再発しやすくなったり、症状が悪化したりすることがあるため、医師の指示通りに最後まで飲み切ることが重要です。

繰り返す場合や症状が重い場合は、泌尿器科や婦人科、更年期外来などで詳しく検査を受け、更年期による膣や尿道の萎縮が関係していないか確認してもらうとよいでしょう。

更年期世代の女性が気をつけたい
「膀胱炎予防ケア」

膀胱炎を防ぐためには、毎日のちょっとした心がけが大切です。

1.水分摂取

まず意識したいのは、水分をしっかりと摂ることです*3
水分が不足すると尿が濃くなり、膀胱の中で細菌が増えやすくなります。 1日1.5〜2リットルを目安に、喉が渇く前に少しずつ水やお茶を飲むようにしましょう。

2.こまめにトイレに行く

トイレを我慢しないこともポイントです。
尿意を感じたら早めに行き、膀胱に細菌を溜め込まないようにします。 排尿後は、前から後ろへ向かってやさしく拭くと、肛門まわりの菌が尿道に入るのを防げます。

3.冷え対策

下半身の冷えも膀胱炎につながる要因の一つです。
体が冷えると血行が悪くなり、粘膜の抵抗力が落ちてしまうため、腹巻きや温かい飲み物などで体を内側から温めましょう。

4.デリケートゾーンケア

デリケートゾーンの清潔を保つことも大切ですが、洗いすぎは逆効果。
石けんでゴシゴシ洗うと、もともと体にいる善玉菌まで洗い流してしまい、かえって細菌が繁殖しやすくなります。 弱酸性のデリケートゾーン専用ソープを使うか、ぬるま湯でやさしく洗うようにしましょう。

また、通気性のよい下着を選び、締めつけの強い服はできるだけ避けましょう。 下着や服による蒸れを防ぐことで、細菌が増えるのを抑えられます。

5.生活習慣を整える

生活習慣の見直しも、膀胱炎の予防になります。
睡眠不足やストレスが続くと免疫力が下がり、感染しやすい状態になります。 バランスの取れた食事と十分な休息を心がけ、体の抵抗力を保つことが膀胱炎を防ぐことにつながります。

予防ケアに取り組んでも膀胱炎を繰り返すようなら、更年期による粘膜の変化が関係しているかもしれません。 ホルモン補充療法や膣錠など、医療機関での治療で改善が期待できる場合もあります。 気になる症状が続くときは、早めに婦人科や泌尿器科で相談してみてください。

立岩 奈緒

執筆者

立岩 奈緒

看護師・医療コラムライター

看護師として、9年間病院で勤務。
血液内科・神経内科・整形外科・婦人科外科・泌尿器科を経験。
現在は3児の母として家事・育児に奮闘しながら、Webライターとして医療・健康に関するコラムの執筆をしています。
読者の皆さまが抱える悩みや不安に寄り添い、少しでもお役に立てる情報をお届けできれば幸いです。

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テレビ・雑誌などメディア出演多数!Inaba Clinic 院長 稲葉可奈子

産婦人科専門医/医学博士

京都大学医学部卒業後、東京大学大学院にて医学博士号を取得。
「産婦人科を受診するハードルを下げたい」という思いから、2024年渋谷にクリニックを開業。 双子を含む4人の子どもを育てながら、テレビやネットニュースなど各種メディアにもコメンテーターとして出演している。
著書に『シン・働き方 ~女性活躍の処方箋~』があり、 SNS総フォロワー数3万人の「医療インフルエンサー」としても情報発信を続けている。