【女性ホルモン】の影響を受けて変化する?睡眠のリズムとその整え方

公開日:2026年3月5日

生理前になるといつもより眠れなくなったり、逆に日中の眠気が強くなったりすることはありませんか。
実は、月経周期によるホルモンバランスの変化は、睡眠の質にも大きく影響しています。

特に更年期に差しかかると、月経周期の乱れとともに睡眠トラブルも複雑になりがちです。

この記事では、周期ごとに変わる睡眠のメカニズムと、それぞれの時期の体調に合わせた睡眠の整え方をご紹介します。

「生理前」に睡眠が乱れる理由

生理前の約2週間は、黄体期(おうたいき)と呼ばれる時期です。
この時期には、プロゲステロン(黄体ホルモン)という女性ホルモンの分泌が増えます*1
プロゲステロンには体温を上げる作用があり、日中の体温は普段より高くなる傾向があります。

人は、体温が下がり始めるタイミングで自然な眠気を感じます。
ところが黄体期では、夜になっても体温が十分に下がらず、寝つきが悪くなることがあるのです。

生理が始まる数日前になると、今度はプロゲステロンが急激に減少します。
このホルモンの変動が自律神経に影響を与え、イライラや不安感のほか、夜中に何度も目が覚めてしまうなどの睡眠トラブルにつながります*1 *2

こうした変化に加え、更年期が近づくと、プロゲステロンとともに女性ホルモンの中心を担う「エストロゲン(卵胞ホルモン)」が減少していきます。
エストロゲンが急激に減ると、自律神経の乱れやホットフラッシュが起こりやすくなり、これらの症状も睡眠の質を下げる大きな要因となります。

その結果、睡眠トラブルはより複雑化しやすくなるため、ご自身の体調に合わせたケアが大切です。

食事・サプリ・軽い運動で
周期に合わせた睡眠ケア

女性ホルモンの影響による睡眠リズムの乱れには、日常生活の中で取り入れられるケアがいくつかあります。
食事やサプリメント、軽い運動を意識することで、体のリズムを整えやすくなります。

食事

まずは毎日の食事で、睡眠に関わる栄養素を無理なく取り入れていきましょう。

ビタミンB6 睡眠ホルモン「メラトニン」の材料となるセロトニンの合成を助け、スムーズな入眠をサポートします。
(食材例:バナナやマグロ、鶏むね肉など)

マグネシウム 筋肉の緊張をゆるめ、体をリラックスさせるミネラルです。
(食材例:アーモンド、ほうれん草、豆腐など)

また、睡眠との関連で注目されている成分としてGABAやテアニンがあります。

GABA アミノ酸の一種で、脳の興奮を抑える働きがあるとされています。
(食材例:発芽玄米、トマト、キムチなど)

テアニン 緑茶に含まれる成分で、穏やかな気分をサポートするといわれています。

夕方以降は覚醒作用のあるカフェインを控え、テアニンを含む温かいお茶や、カフェインレスの飲み物を選ぶのも良い方法です*2

サプリ

食事だけで十分な量を摂るのが難しい場合は、サプリメントの活用を検討してみるのも一つの手です。

GABAやテアニンは、リラックスをサポートする成分として多くの製品に利用されています。
就寝前に取り入れる際は、カフェインを含まない製品を選ぶのがポイントです。

また、グリシンという成分も、入眠を助けるアミノ酸として知られています。

サプリメントを利用する際は、体質や服用中の薬との相互作用に注意が必要です。
かかりつけの医師や薬剤師に相談したうえで取り入れると安心でしょう。

軽い運動

黄体期は体温が高く、体がむくみやすい時期でもあります。
激しい運動は負担になりやすいため、軽めのストレッチやヨガ、ウォーキングなど、無理のない範囲で体を動かすのがおすすめです。

特に夕方から夜にかけての時間帯に行う運動は、体温の一時的な上昇とその後の自然な低下を促し、入眠をスムーズにする効果が期待できます。
ただし、寝る直前の運動は体が興奮して逆効果になることもあるので、就寝の3時間前までに済ませましょう。

“睡眠のリズムづくり”実践方法

月経周期に合わせた睡眠ケアを取り入れるには、まず自分の周期を把握することが大切です。
基礎体温や体調の記録をつけると、体温の変化や眠りにくい時期のパターンが見えてきます。

黄体期に入ったら、寝室の温度をやや低めに設定し、通気性のよいパジャマを選ぶなど、体温がこもりにくい環境を整えましょう。
就寝前にぬるめのお湯に浸かるのも効果的です。
いったん体温を上げ、その後ゆるやかに下げる流れをつくることで、自然な眠気につながりやすくなります。

就寝時間と起床時間をできるだけ一定に保つのも、大切なポイントです*2
月経周期によって眠気や体調の変化があっても、起きる時間を揃えることで体内時計が安定しやすくなります。

睡眠トラブルが長引く場合は、婦人科や睡眠外来に相談することも選択肢のひとつです。
専門家に話すことで、原因や対処法が見えてくることがあります。
気になる症状があれば、早めに相談することを心がけましょう。

立岩 奈緒

執筆者

立岩 奈緒

看護師・医療コラムライター

看護師として、9年間病院で勤務。
血液内科・神経内科・整形外科・婦人科外科・泌尿器科を経験。
現在は3児の母として家事・育児に奮闘しながら、Webライターとして医療・健康に関するコラムの執筆をしています。
読者の皆さまが抱える悩みや不安に寄り添い、少しでもお役に立てる情報をお届けできれば幸いです。

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テレビ・雑誌などメディア出演多数!Inaba Clinic 院長 稲葉可奈子

産婦人科専門医/医学博士

京都大学医学部卒業後、東京大学大学院にて医学博士号を取得。
「産婦人科を受診するハードルを下げたい」という思いから、2024年渋谷にクリニックを開業。 双子を含む4人の子どもを育てながら、テレビやネットニュースなど各種メディアにもコメンテーターとして出演している。
著書に『シン・働き方 ~女性活躍の処方箋~』があり、 SNS総フォロワー数3万人の「医療インフルエンサー」としても情報発信を続けている。