【つらい肩こり】更年期との関係と対処法

公開日:2026年4月20日

更年期に入り、これまで感じたことのない強い肩こりに悩まされていませんか?
仕事や家事で肩を使いすぎたわけでもないのに、首から肩にかけて重だるさや痛みを感じる……。

実はこの不調、単なる疲労ではなく、更年期特有のホルモンバランスの変化が関係している場合があります。
女性ホルモンの分泌量が不安定になると、血流や自律神経にも影響を与えるためです。

本記事では、更年期に肩こりが悪化する理由と、日常生活でできる対処法をわかりやすくご紹介します。

更年期に「肩こり」がひどくなる理由

更年期になると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が不安定になります。
エストロゲンには自律神経のバランスを整える働きがあるため、分泌量が減ると交感神経が優位な状態が続きやすくなります*1
交感神経が優位になると、血管が収縮して全身の血流が滞りがちに。
筋肉に必要な酸素や栄養が届きにくくなり、老廃物も蓄積しやすくなるため、肩や首まわりの「こり」が悪化しやすくなるのです。

また、更年期にみられやすいホットフラッシュや冷えも、筋肉の緊張を高める要因のひとつです。
体温調節がうまくいかないと、無意識に体がこわばります。

さらに、更年期はイライラや不安感、気分の落ち込みなどの精神的なストレスが増えやすい時期でもあります。
ストレスは筋肉の緊張をさらに強め、肩こりが慢性化する悪循環を生みやすくなります。

更年期の肩こりをやわらげる対処法

つらい肩こりも、自宅でできるセルフケアで少しずつやわらぐことがあります。

ストレッチ・軽い運動

デスクワークや家事で長時間同じ姿勢が続くと、肩まわりの血流が滞り、こりが悪化する原因になります。
1〜2時間に一度、肩を大きくぐるぐると回したり首をゆっくり左右に倒したりするだけでも、筋肉の緊張がほぐれやすくなるでしょう。
ウォーキングやヨガなどの軽い有酸素運動も、血行促進と自律神経の安定に役立つといわれています。

入浴で体を温める

シャワーだけで済ませず、ぬるめのお湯(38〜40℃程度)にゆっくり浸かる習慣を取り入れてみましょう。
体の芯から温まると血管が広がり、筋肉のこわばりがほぐれやすくなります。
就寝前の入浴は、自律神経を副交感神経(リラックスモード)に切り替えるうえでも効果的です。

食事と栄養

肩こりと関係の深い血行や筋肉の状態を整えるには、栄養面からのサポートも大切です。

まず意識したいのが、血行を促進するビタミンE。
アーモンドやかぼちゃ、アボカドなどに多く含まれています。

筋肉のこわばりが気になる方は、緊張をゆるめる働きをもつマグネシウムも取り入れてみてください。
豆腐やほうれん草、ナッツ類などが代表的な食材です。

また、大豆イソフラボンはエストロゲンに似た働きをするとされる成分で、更年期の体調管理への活用が注目されています。
豆腐・納豆・豆乳などの大豆製品から、日々の食事で無理なく摂りやすい成分です。
食事だけで補いきれない場合は、サプリメントの活用を検討してみましょう。

ストレスのケア

心の緊張が続くと、体の緊張も抜けにくくなります。
好きな音楽を聴いたり、深呼吸を取り入れたりと「意識的に気を緩める時間」を作ることも、肩こり対策のひとつとして意識してみてください。

病院での治療や漢方薬の対策はある?

セルフケアを続けても改善が見られないとき、または日常生活に支障が出るほどつらいときは、医療機関への相談も選択肢のひとつです。

婦人科・更年期外来

更年期の肩こりには、ホルモンの変化が深く関わっているケースがあります。
婦人科や更年期外来では、HRT(ホルモン補充療法)によってエストロゲンを補い、自律神経の乱れを整えるアプローチが行われることがあります。
肩こり以外にもほてりや倦怠感など更年期症状が重なっている場合は、まず婦人科に相談してみるとよいでしょう。

整形外科・ペインクリニック

肩や首まわりの痛みが強い場合は、整形外科を受診して骨や筋肉に異常がないか確認することも大切です。
ペインクリニック(痛みの専門外来)では、こりや痛みに直接アプローチする治療が受けられます。

漢方薬

漢方では、体全体のバランスを整えながら症状に対処するアプローチがとられます。
更年期の肩こりには、肩や首のこり・張りに用いられる葛根湯(かっこんとう)*2や、冷えや血行不良が背景にある場合の当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)*3、イライラや気分の落ち込みを伴う場合の加味逍遙散(かみしょうようさん)*4などが使われることがあります。
体質や症状によって合うものが異なるため、自己判断は避け、まずは医師や薬剤師に相談してみましょう。

立岩 奈緒

執筆者

立岩 奈緒

看護師・医療コラムライター

看護師として、9年間病院で勤務。
血液内科・神経内科・整形外科・婦人科外科・泌尿器科を経験。
現在は3児の母として家事・育児に奮闘しながら、Webライターとして医療・健康に関するコラムの執筆をしています。
読者の皆さまが抱える悩みや不安に寄り添い、少しでもお役に立てる情報をお届けできれば幸いです。

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テレビ・雑誌などメディア出演多数!Inaba Clinic 院長 稲葉可奈子

産婦人科専門医/医学博士

京都大学医学部卒業後、東京大学大学院にて医学博士号を取得。
「産婦人科を受診するハードルを下げたい」という思いから、2024年渋谷にクリニックを開業。 双子を含む4人の子どもを育てながら、テレビやネットニュースなど各種メディアにもコメンテーターとして出演している。
著書に『シン・働き方 ~女性活躍の処方箋~』があり、 SNS総フォロワー数3万人の「医療インフルエンサー」としても情報発信を続けている。