「終活」は本当に必要?終活のタイミングと具体的な準備を解説
公開日: 2026年10月7日
終活は必要?そのタイミングと具体的な準備
「終活を始めたいけれど、何から準備すればいい?」「いつから始めるべき?」と悩んでいませんか。
終活は、葬儀や相続など人生の最期に向けた準備だけではありません。身の回りの物や財産、医療・介護への希望などを整理し、これからの生活をより自分らしく過ごすための準備でもあります。
この記事では、終活をする目的や始めるタイミング、準備しておきたいこと、家族ともしものときの希望や情報を共有する方法などを解説します。
終活とは?準備する目的と必要性
終活とは、これからの人生を自分らしく過ごすために、身の回りのことや将来について考え、必要な準備をすることです。「終活」という言葉に法律上の明確な定義はありませんが、一般的には、財産や持ち物の整理、医療・介護の希望、葬儀やお墓、死後の手続きなど、人生の最期を見据えたさまざまな準備を指します。
終活には、自分の希望を整理するだけでなく、家族に必要な情報を伝えたり、将来の生活に備えたりする意味もあります。では、終活をすることで、どのような良いことがあるのでしょうか。
終活をする目的とは
終活の目的は、人生の最期に備えるだけではありません。自分の希望を整理し、これからの生活を自分らしく過ごすことにもつながります。主な目的は次の4つです。
- 家族の負担を減らす
- 自分の希望をきちんと伝える
- トラブルや争いを避ける
- 「いざというとき」に備える
終活と相続にはどのような関係がある?
終活と相続は関係の深いテーマですが、終活そのものが相続対策というわけではありません。終活には、財産整理や遺言の作成だけでなく、持ち物や医療・介護、葬儀・お墓、デジタル情報など、幅広い準備が含まれます。
一方、相続は、亡くなった方の財産や権利・義務を相続人が引き継ぐことを指します。そのため、財産の整理や遺言書の作成は、相続に直接かかわる重要な準備といえます。
終活はいつから始める?
年代・きっかけ別に解説
終活を始める年代に応じた準備
終活を始める時期に、決まった年齢やタイミングはありません。「そろそろ準備しておきたい」と思ったときが始めどきです。ここでは、終活を始めるタイミングごとに、準備しておきたいことを紹介します。
50代・60代から終活を始める場合
50代・60代は、これからの人生をどう過ごしたいのかを考えながら、体力や判断力があるうちに余裕を持って終活を進めやすい時期です。まずは、住まいや老後の資金、保険、契約しているサービスなどを見直し、必要のない物や使っていないサービスを整理してみましょう。家財やデジタル情報の整理も重要です。
また、親の介護をきっかけに、自分が介護を受けるときのことを考える方もいるかもしれません。ご自身の医療や介護について、どのようなことを大切にしたいのか考えておくと、望む医療や介護を受けられる可能性が高まります。
70代・80代から終活を始める場合
70代・80代からでも、終活を始めるのに遅すぎるということはありません。まずは、これからの生活や医療・介護について考え、自分の希望をまとめたり、家族に伝えたりするところから始めてみるのがおすすめです。
財産や契約の内容は、家族など信頼できる人と一緒に確認するとよいでしょう。相続人が複数いる場合や不動産を所有している場合、家族構成が複雑な場合などは、財産の分け方についても考え、必要に応じて遺言書の作成を検討します。
身の回りの物も一度にすべて片付ける必要はありません。体力や生活への負担を考えながら、できるところから少しずつ進めましょう。
病気や介護をきっかけに終活を始める場合
今後の治療や介護について希望を整理したり、必要な支援やサービスを確認したりすることから始めましょう。あわせて、預貯金や不動産、保険、利用しているサービスなどを確認し、家族にも必要な情報を伝えておくと、その後の手続きに備えやすくなります
体調や判断力が変化すると、自分で希望を伝えたり、財産や契約を整理したりすることが難しくなる場合もあります。現在の状況に合わせて優先順位を決め、できることから早めに着手しましょう。
終活で準備すること7選
終活で行うべき7つのこと
終活は準備することが幅広く、「何から始めればよいのかわからない」と感じる方もいるでしょう。ここでは、終活で準備しておきたい基本的な7つの項目を紹介します。
身の回りの物を整理する
2026年7月にJ:COMが行った「親の相続経験に関する実態調査」では、親の相続を振り返って生前に行っておく必要があったと思うことの中で、最も回答が多かったのが片付けや不用品の処分でした。
J:COM「親の相続経験に関する実態調査」
衣類や家具、書籍、趣味の品など、長年暮らしていると物は自然と増えていきます。思い出の品や家族に残したい物は保管場所を決め、使っていない物は処分や譲渡を検討してみましょう。
一度にすべてを整理する必要はありません。普段使っている物から見直す、引き出し1つから始めるなど、無理のない範囲で少しずつ進めることがポイントです。少しずつ仕分けておくことで、残された家族の負担を減らすことができます。
出典) 親の相続経験者の4割超が「相続手続き完了まで半年以上」、半数超が「親の生前準備は特になかった」と回答。J:COMが「親の相続経験に関する実態調査」を実施
財産・資産を整理する
終活では、自分がどのような財産を持っているのかを把握しておくことも大切です。預貯金や不動産、生命保険、株式などの有価証券を一覧にして、金融機関名や所在地、契約内容などを整理しておくと残された家族への負担を軽減することが可能です。
不動産については、所在地や名義、住宅ローンなどの借入れが残っていないか確認しましょう。名義が現在の所有者と異なる場合は、将来の相続に影響することがあります。また、借入金だけでなく、連帯保証人になっているなど、将来の相続に影響する債務がないかも要チェックです。
財産の情報を整理しておけば、自分自身が資産状況を把握しやすくなるだけでなく、将来、家族が相続の手続きを進める際にも役立ちます。
医療・介護の希望を整理する
将来、病気や介護が必要になったときに備え、自分が大切にしたいことや、どのような医療・ケアを望むのかを考えておくことも終活の一つです。
こうした将来の医療やケアについて、本人を中心に家族や大切な人、医療・ケアの関係者などと繰り返し話し合い、共有していく取り組みを「人生会議(Advance Care Planning)」といいます。たとえば、どのようなことを大切にして暮らしたいか、介護が必要になった場合にどこで過ごしたいかなど、今の自分の考えを家族と話してみることから気軽に始められます。なお、気持ちや状況が変化したときには、改めて話し合い、希望を見直すことも大切です。
葬儀・お墓の希望を整理する
葬儀やお墓について、どのようなお葬式にしたいのか、費用はどの程度かけるのか、誰を呼びたいのか、お墓はどうするのかなど、自分の希望を整理してみましょう。お墓には、墓地や納骨堂、樹木葬などの種類があります。
すでにお墓がある場合は、場所や管理者、寺院・霊園などの連絡先を家族に伝えておくと、必要な手続きを進める際に役立ちます。将来的に墓じまいを考えている場合も、その希望を共有しておくことをおすすめします。
デジタル情報を整理する
近年、デジタル終活やデジタル遺品といった言葉を耳にするようになりました。実は、スマートフォンやパソコン、インターネット上のサービスなどのデジタル情報も終活の対象です。残された家族が困らないよう、利用しているサービスやアカウントなどを整理しておきましょう。
たとえば、SNSや動画配信サービス、定期購入しているネットショッピングなど、利用しているサービスを一覧にしておきます。SNSなどは、削除するのか残しておきたいのか、死後の扱いについて希望があれば記録しておくとよいでしょう。家族に残したい写真や動画がある場合は、わかりやすい保存場所を用意し、共有しておくのもおすすめです。
スマートフォンやパソコンのロック解除方法なども、家族が確認できるようにしておくことが大切です。
デジタル遺品については、こちらの記事も参考にしてください。
参考記事)
デジタル遺品とは? 知っておきたい事前準備
死後の事務について整理する
死後には、公共料金や携帯電話、新聞、インターネット回線や動画配信サービスのようなサブスクリプション契約などを解約したり、クレジットカードや保険の手続きをしたりする必要があります。賃貸住宅に住んでいる場合は、解約だけでなく、荷物の整理や退去なども必要です。
契約しているサービスや契約先、契約者名、連絡先、支払方法などを一覧にしておくと、家族が必要な手続きを進める際に役立ちます。解約や名義変更が必要になりそうな契約も、あわせて確認しておきましょう。
家族に頼ることが難しい場合は、死後事務委任契約を利用する方法もあります。これは、亡くなった後のさまざまな事務手続きを、あらかじめ決めた人に委任しておく契約です。自分の状況に合わせて、必要な手続きを誰に任せるのか考えておくことも終活の一つです。
連絡先と身元保証について整理する
自分にもしものことがあったとき、誰に連絡してほしいのかを整理しておくことも終活の一つです。特に一人暮らしをしている場合は、病気や入院、介護が必要になったときなどの緊急連絡先をリストアップしておくと、周囲の人が連絡先を確認しやすくなります。
また、身元保証についても、あらかじめ考えておくことが大切です。入院や施設への入所などでは、身元保証人を求められることがあるでしょう。家族や親族に頼むことが難しい場合は、身元保証サービスなどを利用するのも選択肢の一つです。
終活の内容を整理・共有する方法
終活の内容を整理し、共有しよう
終活で整理した情報や希望は、自分だけが把握していても、いざというときに家族が活用できません。必要な情報をまとめ、誰にどのように伝えるかを考えておくことも大切です。ここでは、エンディングノートや遺言書など、整理・共有する方法を紹介します。
エンディングノートに希望や情報をまとめる
エンディングノートは、終活で整理した情報や本人の希望を書き残しておくためのノートです。決まった形式はなく、本人の情報や緊急時・死後の連絡先、財産の概要、医療・介護や葬儀などに関する希望、家族へのメッセージなど、必要なことを書き残せます。ただし、法的効力はありません。
市販のエンディングノートを利用するほか、自分で用意したノートやパソコン上に必要な情報を書き残しておくとよいでしょう。作成した後は、保管場所を家族など信頼できる人に伝えておくことも大切です。保管場所がわからないと、いざというときに見つけてもらえない可能性があります。
遺言書を作成する
財産を誰にどのように残したいのか、法的な形で意思を示したい場合は、遺言書の作成を検討しましょう。遺言書にはいくつかの種類がありますが、一般的に利用されるのが「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」です。
自筆証書遺言は、原則として遺言者本人が全文や日付、氏名などを自書して作成する遺言書です。作成した遺言書は自宅などで保管するほか、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用して保管してもらうこともできます。自宅などで保管する場合は、遺言書の存在や保管場所を家族などに伝えておくと、遺族が見つけやすくなるでしょう。また、自筆証書遺言書保管制度では、あらかじめ手続きをしておくことで、遺言者が亡くなった際に指定した人へ遺言書が保管されていることを通知してもらえます。
公正証書遺言は、公証人が遺言者の意思を確認しながら作成する遺言書です。原本は公証役場で保管されるため、自宅で保管する場合と比べて紛失や改ざんなどのリスクを抑えられます。遺言者が亡くなった後は、相続人などの利害関係人が公証役場で公正証書遺言の有無を確認し、必要に応じて正本や謄本の交付を請求できます。
遺言書は、方式や内容に不備があると、希望どおりの相続につながらない可能性があるため注意が必要です。財産の内容が複雑な場合や、相続人以外にも財産を残したい場合などは、行政書士、司法書士、弁護士などの専門家に相談しながら作成する方法もあります。次のような方は、公正証書遺言の作成や専門家への相談を検討するとよいでしょう。
- 不動産など分けにくい財産を所有している
- 特定の人に多く財産を残したい
- 相続人以外に財産を渡したい
- 子どもがいない夫婦
- 再婚しているなど、家族関係が複雑
- 事業をしている、または会社を経営している
- 相続税についても相談したい
遺言書についてさらに詳しく知りたい方は、J:COM 相続そうだんが開催した
「『遺言はまだ早い』は要注意? 遺言超入門(体験型)セミナーレポート」も参考にしてください。
任意後見契約を検討する
任意後見制度は、将来、認知症などによって判断能力が低下した場合に備え、あらかじめ自分で選んだ人に財産管理や契約などの手続きを任せる制度です。元気なうちに、将来どのような支援を受けたいのかを決めておけるため、終活の一つとして検討できます。
任意後見契約は、公正証書で結ぶ必要があります。ただし、契約を結んだ時点ですぐに任意後見人が財産を管理するわけではありません。本人の判断能力が低下した後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任することで、任意後見人による支援が始まります。
任意後見制度の利用を検討する場合は、制度の仕組みや契約内容について、公証役場や司法書士、弁護士などに相談することができます。
医療・介護に関する意思を表示する
前述の人生会議(ACP)で話し合った医療や介護に関する希望を書面に残しておきたい場合は、「事前指示書」などを活用する方法があります。事前指示書とは、将来、自分で意思を伝えられなくなった場合に備えて、受けたい医療や受けたくない医療などについて、あらかじめ意思を示しておくものです。法律で定められた統一的な様式はなく、自治体や医療機関などが用意した書式を利用することもできます。
ただし、医療や介護の希望は、必ずしもそのとおりに実現できるとは限りません。病状や介護の状況によって必要な対応が変わることもあるため、希望を書き残すだけでなく、家族や医療・ケアの関係者と話し合いながら、その時々の状況に合わせて見直すことも大切です。
終活を進めるときのポイントと注意点
終活を進めるときに気をつけるポイント
終活は整理することが多岐にわたるため、一度に進めようとせず、自分の状況に合わせて無理なく進めることが大切です。ここでは、終活を進める際のポイントや注意点を紹介します。
一度にすべて終わらせようとしない
終活は、最初からすべてを整理しようとすると負担が大きくなるため、優先順位を決めて、できることから少しずつ進めることがポイントです。まずは、今の自分に必要なことから取り組み、無理なく終活を続けていきましょう。優先順位に迷ったら、次のような項目から整理してみるのも一つの方法です。
- 緊急連絡先や医療・介護の希望
- 財産情報、重要書類や契約の一覧
- 不要な物やデジタルサービスの整理
- 葬儀・お墓などの希望
家族と情報や希望を共有する
エンディングノートや財産の一覧表などを作ったら、保管場所を家族など信頼できる人に伝えておきましょう。ただし、財産の内容やデジタルサービスのアカウント情報など、すべての情報を家族全員に共有する必要はありません。情報の性質に合わせて共有方法を考えることが大切です。
終活の内容を定期的に見直す
一度整理した終活の内容も、時間が経つと健康状態や家族構成、財産、住まい、契約状況などが変わり、以前に決めた希望が現在の状況に合わなくなることがあります。特に、医療や介護に関する希望は、健康状態や生活環境によって変わりやすいものです。厚生労働省も、本人の気持ちや状況の変化に応じて、家族や医療・ケアの関係者と繰り返し話し合い、希望を見直していくことをすすめています。
終活で整理した希望は、状況や状態の変化に合わせて見直していくことが大切です。
エンディングノートだけで相続対策を済ませない
エンディングノートは内容を気軽に書き換えられるため、状況や気持ちの変化に合わせて更新しやすいのが特徴です。ただし、法的な効力がないため、財産の分け方を指定したり、特定の人に財産を残したりすることはできません。相続について具体的な希望がある場合は、エンディングノートだけでなく、遺言書の作成も検討しましょう。
エンディングノートは家族に自分の考えや必要な情報を伝えるためのもの、遺言書は財産の分け方を法的に指定するためのものと、それぞれの役割を理解して使い分けることが大切です。
財産・契約・負債を正確に把握する
財産を整理するときは、資産だけでなく、見落としやすい契約や負債も確認しておくことが大切です。特に、次のようなものがないか、一つずつ確認してみましょう。
- 借入金・ローン
- 連帯保証や保証債務
- クレジットカード
- サブスクリプション
- 生命保険などの保険
- 不動産の名義や住宅ローン
- 未払いの税金や公共料金
これらは本人が把握していても、家族にはわからないことがあるかもしれません。契約先や残高、支払方法なども整理しておくと、将来、家族が財産や債務を確認するときに役立ちます。また、不要になったクレジットカードやサブスクリプションなども解約しておくと、将来の手続きや家族の負担を減らせます。
必要に応じて専門家に相談する
終活は、すべてを自分や家族だけで整理する必要はありません。財産や相続、医療・介護など、専門的な知識が必要なことについては、内容に応じた専門家や相談窓口に相談しましょう。たとえば、相談先には次のようなところがあります。
| 相談内容 | 主な相談先 |
|---|---|
| 遺言・相続 | 行政書士(遺言書作成など)、司法書士(相続登記など)、弁護士(相続トラブルなど)、公証役場(公正証書遺言など) |
| 相続税や譲渡所得 | 税理士(税務相談・申告など)、税務署(税金に関する相談) |
| 任意後見 | 行政書士・司法書士・弁護士(契約内容や手続きの相談・支援など)、公証役場(任意後見契約公正証書の作成) |
| 医療・介護 | かかりつけ医(医療に関する相談)、地域包括支援センター(介護や生活に関する相談) |
| 葬儀・お墓 | 葬儀社(葬儀に関する相談)、行政書士(改葬許可申請など)、霊園や寺院の管理者(墓地・お墓に関する相談) |
相談先によって専門とする分野が異なるため、相談したい内容に応じて、適した専門家や相談窓口を選ぶことが大切です。どこに相談すればよいのかわからない場合は、総合的な相談窓口を利用するのも一つの方法です。「J:COM 相続そうだん」では、相続や遺言などについて、経験豊富なコンシェルジュが無料で相談を受け付け、必要な情報の整理や今後の進め方をサポートしています。
親の終活を考えるときのポイント
親の終活を考えるときに気をつけるべきこと
ここまで、ご自身の終活について、準備しておきたいことや進め方を紹介してきました。一方で、親の終活について考える機会が生まれることもあるでしょう。しかし、本人の気持ちや健康状態、家族関係などがかかわるため、どのように切り出せばよいのか悩む方も少なくありません。ここでは、親への声かけや一緒に整理するときのポイントを確認していきます。
J:COM 相続そうだんコンシェルジュが、相続や終活についての考え方を紹介したインタビュー記事もあります。あわせて参考にしてください。
参考記事) 「相続は、お金の話だけではない」J:COM相続そうだんコンシェルジュが伝えたい、“自分の人生を振り返る”ということ
親の終活を考え始めるサインとは?
親の終活を考えるきっかけは、日常生活や健康状態の変化など、さまざまです。たとえば、次のような変化が見られたときは、終活を考えるサインかもしれません。
- 物忘れが増えた
- 入院した、介護認定を受けた
- 契約内容を本人が把握できていない
- 家族が「このままだと困る」と感じる場面が増えた
ただし、こうした変化があっても、すぐに終活を始める必要はありません。少しずつ本人の希望を確認したり、必要な情報を整理したりしておくことで、将来の手続きで家族が困る場面を減らせます。
まずは親本人の希望を聞く
終活は、単に財産や持ち物を整理するためのものではなく、親自身がこれからどのように暮らしたいのかを考え、希望を整理することでもあります。「何を残したいか」「これからどのように過ごしたいか」など、本人の価値観や考えを聞いてみましょう。
財産や医療・介護について話し合う
親の希望を確認したら、財産や医療・介護、葬儀・お墓などについても少しずつ話し合ってみましょう。すべてを一度に決める必要はありません。
J:COMが2026年7月に実施した調査では、直近5年以内に親の相続を経験した人の約6割が、親の生前に相続や財産について「十分に話し合う機会がなかった」と回答しています。また、親の相続を振り返り、生前に行っておく必要があったこととして、約3割が「親との話し合い」を挙げているのです。こうした結果からも、親が元気なうちに、家族で相続や財産について話し合っておくことの大切さがわかります。
財産については、預貯金や不動産、保険などの内容を確認しておくと、将来の相続手続きに役立ちます。医療や介護については、どのような治療やケアを受けたいのか、どこで過ごしたいのかなど、本人の希望を聞いておきましょう。
また、葬儀をどのようにしたいのか、誰に連絡してほしいのか、お墓をどうするのかなども、元気なうちに話しておくと、いざというときに家族が判断しやすくなります。
参考記事) 親の相続経験者の4割超が「相続手続き完了まで半年以上」、半数超が「親の生前準備は特になかった」と回答。J:COMが「親の相続経験に関する実態調査」を実施
必要な手続きを親と一緒に確認する
年齢を重ねると、さまざまな手続きが負担になり、一人では進めにくくなりがちです。そのため、必要な手続きについても一緒に確認しておくことをおすすめします。
たとえば、遺言書の有無や生命保険への加入状況、不動産の所有状況や名義などを確認しておきましょう。また、介護保険の申請や介護サービスの利用状況も把握しておきたいところです。
もし認知症などで判断能力が低下すると、本人名義の預貯金の引き出しや不動産の売却などが難しくなる場合があります。元気なうちから財産管理について本人の希望を整理したうえで、必要に応じて家族信託などの制度を検討しておくことも大切です。認知症になる前にしておきたい財産管理については、以下の記事でも詳しく紹介しています。
参考記事) 認知症になる前にしておくべきことは?
親の気持ちを尊重して無理に進めない
親に終活をすすめても、すぐに話し合いや整理を始められるとは限りません。終活は老いや病気、死などと向き合うことになるため、話題にすること自体に抵抗を感じる人もいます。
親が終活について話したがらない場合は、無理に進めず、本人が話しやすいタイミングを待ちましょう。本人の意向を聞かずに家族が先に進めてはいけません。「一緒に整理してみない?」と声をかけるだけにしておくのも一つの方法です。また、財産や葬儀など重い話題から始めるのではなく、持ち物の整理や今後の暮らしなど、身近な話題から始める方法もあります。
終活はできることから少しずつ始めよう
終活は、財産や相続、医療・介護、葬儀など、考えることが多くあります。まずは身近なことや気になっていることから、できる範囲で少しずつ始めてみましょう。途中で状況や気持ちが変わったら、内容を見直しても構いません。
終活で今日からできること
終活は、特別な準備から始める必要はありません。まずは、今日からできることに取り組んでみましょう。
- 家族や親しい人など、もしものときの連絡先を整理する
- 医療や介護について、自分の希望を簡単にメモしておく
- 預貯金や不動産など、主な財産を一覧にする
- 使っていない物を1つ手放す
- エンディングノートを用意する
終活に関する専門家・相談窓口を活用する
終活を進める中で、財産や相続、遺言などについて自分だけでは判断が難しいことが出てきたら、専門家や相談窓口を活用しましょう。相談先がわからない場合は、総合的な相談窓口に相談するのも一つの方法です。
相続や遺言などについて相談したい場合は、「J:COM 相続そうだん」も利用できます。経験豊富なコンシェルジュが無料でお悩みを伺い、状況を一緒に整理します。何から手をつければよいのかわからない方も、まずは相談してみてはいかがでしょうか。
本記事は掲載日時点の法令・制度に基づいて作成しています。法改正等により内容が変更されている場合があります。正確な情報や具体的な手続きについては、最新の法令をご確認いただくか、専門家へご相談ください。
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