老後に備えるための保険はどう見直す?困ったときの相談先もわかりやすく解説

公開日: 2026年9月2日

保険証券を確認しながら老後の保険について話し合うシニア

老後に備えるための保険はどう見直す?困ったときの相談先もわかりやすく解説

老後は収入が減り、医療費や介護費などの負担が増えるため、現役時代の生命保険では保障内容が合わなくなることがあります。老後の備えは、公的保険を補う形に整え、保障内容や相続時の扱いを家族と共有することが大切です。

この記事では、老後に向けた保険の考え方、相続との関係、相談先などをわかりやすく解説します。

公的制度の確認から専門家への相談まで、老後に備えて保険を見直す5つのステップを示した図

老後に備えて保険を見直す流れ

老後に備えて保険を見直す理由

老後は収入や生活費が変化し、医療・介護の負担も増えるため、現役時代の保険が生活に合わなくなることがあります。また、保険は家族や相続の手続きにも関係します。この章では、老後に向けて保険を見直すべき理由を整理します。

老後の収入や生活費の変化を想定する

老後は退職や再雇用、年金生活への移行で収入が減り、生活費の負担が重くなる傾向があります。医療費や介護費の増加、住まいの維持費も不安材料の一つです。

一方で、子どもの教育費や住宅ローンの返済が終わり、現役時代よりも支出が減る家庭もあるでしょう。こうした収入と支出の変化を踏まえ、老後の家計がどのように推移するかを把握しておくことが大切です。

医療費・介護費・葬儀費用への備えを考える

年齢を重ねると、病気やけがの発生率が高まり、介護が必要になる可能性も高まります。医療機関への支払いだけでなく、通院の交通費や入院生活品、介護用品、住宅の手すり設置などの改修費用といった周辺費用が発生することもあります。

また、葬儀費用は一度にまとまった支出となるため、家族に負担をかけないよう備えておきたいと考える人も多いでしょう。老後の保険を考えるときは、こうした費用の目安も把握しておくと安心です。

保険契約が相続や家族の手続きに関係する

生命保険の死亡保険金は、指定された受取人固有の財産として扱われるため、遺産分割の対象になりません。ほかの遺産状況に左右されずに、必要書類が整ったタイミングで請求できる点が特徴です。遺産分割が終わるまで待つ必要がないため、受け取った保険金は当面の生活費や葬儀費用などに充てやすいというメリットもあります。

ただし、死亡保険金は遺産分割の対象外であっても、相続税の計算上は「みなし相続財産」として課税対象になる場合があります。詳しくは後述の「死亡保険金は相続税の対象になることがある」で解説します。

このように、生命保険は老後の備えだけでなく、残された家族の生活や相続手続きにも影響します。保険金を遺族のサポートに充てたいと考える場合は、あらかじめ保険金の受取人に手続きに必要な情報と意向を伝えておくとよいでしょう。

公的保険と民間保険の違いを理解する

老後の備えには、公的保険と民間保険の役割を理解することが欠かせません。この章では、公的保障を確認し、民間保険で備える範囲を整理します。

公的保険で受けられる保障を確認する

老後の保険を考えるときは、まず公的保障を確認します。公的医療保険、公的介護保険、公的年金は、老後の生活を支える基本制度です。

公的保険では医療や介護の自己負担割合を1〜3割に抑えられます。しかし、支出がなくなるわけではありません。普段の生活費を公的年金の範囲に収めていたとしても、病気や介護による支出が加わることで、生活費が公的年金を上回り、収支が赤字になることも考えられます。

そのため、老後の保険を考えるときは、公的保険でどこまで補え、どこが不足するかを把握することが重要です。公的保障を確認せずに民間保険へ加入すると、必要以上の保障で保険料負担が大きくなることがあるでしょう。

医療費は高額療養費制度も含めて考える

公的医療保険には高額療養費制度があります。1カ月に支払った医療費が自己負担限度額を上回った場合、その超過分が払い戻される制度です。限度額は、年齢や所得によって異なりますが、2026(令和8)年8月からは自己負担限度額が見直され、新たに年間上限が設けられています。

ただし、差額ベッド代や入院時の食費、先進医療費用、日用品や通院交通費などは公的医療の対象外であり、高額療養費制度でも補われません。

出典)
・厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
・全国健康保険協会「【制度改正】令和8年8月から高額療養費制度が見直されます」

民間保険は公的制度では賄えない部分に備える選択肢

公的制度のうち医療保険・介護保険は、医療や介護の支払いが生じた場合の自己負担を軽くする制度です。一方、民間保険では、入院や診断などの支払事由に該当した場合に、約束通りの保険金や給付金が支払われます。公的保険で不足する部分をうまく補うためには、この仕組みの違いを理解することが不可欠です。

備えの幅は、自己負担分を補うのか、公的医療の対象外費用まで賄うのかによって異なります。どこまで備えたいかを整理し、現在加入している保険がある場合は、保障の重複や保険料も確認しておきましょう。

老後のための保険を考えるときに
確認したいポイント

保険の見直しでは、保障内容、保険料、家族への共有という3つの視点が欠かせません。この章では、それぞれの確認点を解説します。

保険証券と電卓を使って老後の保険料を確認する手元

老後の保険料と家計のバランスを確認するポイント

保障内容が老後の生活に合っているか

現在加入している保険の保障内容が、老後の生活に合っているかを確認します。働く世代を対象とした保険は、万が一の死亡や介護状態でも家族が生活に困らないよう、働いていれば得られるはずの収入を基準に設計されています。

老後は収入の変化や子どもの独立や住宅ローン完済などにより必要な保障額が減る一方、医療・介護保障の重要性が増していきます。家族構成や貯蓄額、年金見込み額を踏まえて過不足を確認しましょう。

また、医療や介護の保険では、新しい治療方法などに対応した商品が販売されることがあります。最新の保障が適用されるかどうかも併せて確認しておくと安心です。

保険料を無理なく支払い続けられるか

老後は収入が限られる可能性があるため、保険料を無理なく支払い続けられるかを確認します。

月払いは毎月の支出を管理しやすいのが特徴です。年払いは一回あたりの負担が大きいものの、割引が適用され節約につながる場合があります。

終身払いは月々の負担を抑えやすい反面、一生涯支払い続けなくてはなりません。有期払いは払込期間中の保険料は高くなりますが、一定期間で払い込みを終えられます。支払い方法も考慮しながら、保険料を無理なく納め続けられる方法を探りましょう。

月払い、年払い、終身払い、短期払いの4つの保険料の支払い方をまとめた表

保険料の支払い方の比較

保険料の負担が重くなった場合でも、すぐに解約するのは注意が必要です。年齢や健康状態によっては、同じ条件で再加入できないこともあります。解約以外の選択肢について、保険会社やファイナンシャルプランナー(FP)などの専門家に相談してみましょう。

受取人や家族への共有ができているか

保険について、家族が必要な情報を把握できているかどうかも重要なポイントです。死亡保険金の受取人や加入先、証券の保管場所がわからなければ、保険金の請求手続きを進められません。

個人情報保護の観点から、保険契約の契約者本人以外は、原則として被保険者・受取人・指定代理請求人などを除き照会できません。被保険者の死亡や認知判断能力の低下が認められた場合には、生命保険協会の「生命保険契約照会制度」を利用できることがあります。ただし、利用には費用と時間がかかるうえ、対象外となる契約もあります。

出典)生命保険協会「生命保険契約照会制度のご案内」

生命保険と相続の関係

生命保険は、公的保険を補うだけでなく、亡くなったあとの相続とも深く関わります。この章では、死亡保険金にかかる税金の仕組みと、相続対策として活用する場合の考え方を整理します。

死亡保険金は相続税の対象になることがある

死亡保険金は、民法上、受取人固有の財産として扱われ、原則として遺産分割の対象にはなりません。一方で、税法上は扱いが異なります。被相続人が保険料を負担していた死亡保険金は、被相続人の死をきっかけに相続人が入手した財産とみなし、「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。

民法上は「相続財産ではない」とされていても、税法上は「相続税の対象」となる点は、注意すべきポイントです。

出典)国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」

相続人が受け取る死亡保険金は非課税枠がある

被相続人が保険料を負担した死亡保険金を相続人が受け取る場合、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が適用されます。

たとえば、法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人の場合、非課税限度額は「500万円×3人=1,500万円」です。ただし、相続人以外が受け取る死亡保険金には、この非課税は適用されません。

非課税額の算出に必要な法定相続人の数は、相続放棄をした人がいても、計算上はその放棄がなかったものとして扱います。なお、受取人自身が相続を放棄した場合でも固有財産である保険金は受け取れますが、非課税の適用は受けられません。

出典)国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」

契約者・被保険者・受取人の関係で税金が変わる

生命保険では、契約者・被保険者・受取人の組み合わせによって、死亡保険金にかかる税金が変わります。代表的な例は次の通りです。

  • 相続税:契約者=父、被保険者=父、受取人=子
  • 所得税:契約者=父、被保険者=母、受取人=父
  • 贈与税:契約者=父、被保険者=母、受取人=子

税金の種類によって税率や控除が異なるため、同じ金額でも税負担が変わります。契約名義だけでなく、実際の保険料負担者によって扱いが異なるため、契約内容を整理したうえで保険会社や税理士へ確認してもらうと安心です。

出典)国税庁「No.1750 死亡保険金を受け取ったとき」

保険を相続対策として活用する場合は専門家に相談する

生命保険は、受取人を指定できることや非課税限度額があることから、相続対策として活用されます。死亡保険金は受取人固有の財産として遺産分割の影響を受けないため、希望した相手に意図した金額を渡しやすい点が特徴です。

こうした特徴は、相続税の納税資金を準備したい場合や、分けにくく価額の高い財産を取得する家族とのバランスを整えたい場合に利用されることがあります。たとえば、遺言で長男に不動産を残す一方で、次男を受取人とする生命保険に加入するといった具合です。

ただし、遺留分や特別受益、保険料負担者と税金の関係、受取人の指定方法など注意すべき点は少なくありません。保険を相続対策として考える際は、保険会社やFP、税理士などの専門家に相談しながら進めましょう。

契約者・被保険者・受取人と税金の関係、および長男に不動産、次男に死亡保険金を残す例を示した図

参考)国税庁「No.1750 死亡保険金を受け取ったとき」

生命保険を相続対策に活用する場合の考え方

老後の保険や生活資金は
誰に相談すればよいか

保険や老後資金の悩みは、内容によって相談先が異なります。この章では、相談内容ごとの主な相談先と、何から相談すればよいか迷ったときの窓口を紹介します。

ファイナンシャルプランナーに老後の保険について相談するシニア夫婦

老後の保険や生活資金を相談できる専門家

家計や老後資金の相談はFPに相談する

老後の生活資金や保険料の負担など、家計全体を見据えて考えたい場合は、FPが相談先になります。FPは、家計、民間保険、公的保険、年金、資産形成、住宅ローン、相続など、幅広いお金の相談に対応する専門家です。家計の支出バランスや将来設計を踏まえ、「保険料が家計に重くないか」「何歳ごろから、どのくらいの金額を備えればよいか」といった相談ができます。

保険商品の内容は保険会社に確認する

現在加入している保険の保障内容や保険料、解約返戻金の有無、受取人・指定代理請求人などの契約情報は、保険会社に確認します。書面ではわかりにくい場合は、電話やオンライン、対面など都合のよい方法で説明を受けられるでしょう。

高齢期に新しく加入したり契約を見直したりする場合は、家族に同席してもらい、複数回に分けて説明を聞くなど、落ち着いて判断できる環境を整えることも大切です。

相続税や贈与税が関係する場合は税理士に相談する

死亡保険金を相続対策として活用したい場合や、保険契約の契約者変更・受取人変更などの見直しが相続税に与える影響を確認したい場合は、税理士に聞くとよいでしょう。税理士は税金の専門家で、死亡保険金以外の非課税財産、生前贈与と相続の関係、基礎控除との兼ね合いなども含めて相談できます。

相続全体の不安は相談窓口で整理する

老後の保険相談は、生活資金、医療や介護費用、保険契約、相続税、家族への共有など複数の要素が関わります。誰に相談すればよいかわからない場合や、複数の悩みをまとめて整理したい場合は、総合的な相談窓口を利用する方法があります。

総合窓口では、相続に関する不安を整理し、必要に応じて各分野の専門家や事業者につないでもらえる場合があります。「J:COM相続そうだん」でも、相続にまつわる幅広い悩みを相談でき、必要に応じて専門家におつなぎします。

老後の保険は“生活・家族・相続”を
まとめて見直すことが大切

老後に備えるための保険は、保障内容や保険料だけでなく、生活資金への活用、家族との共有、相続時の扱いまで含めて考えることが大切です。公的保険で受けられる保障を確認したうえで、民間保険で備えるリスクを整理しましょう。

死亡保険金は遺産分割状況に左右されない受取人固有の財産となり、生活や納税、相続対策などに利用できます。一方、課税の種類や税額は契約内容や相続人数によって変わるため、自己判断で進めず、必要に応じて専門家の助言を得ることが大切です。

何から相談すればよいかわからない場合は、無料の総合窓口「J:COM相続そうだん」のコンシェルジュ相談を利用してみましょう。

本記事は掲載日時点の法令・制度に基づいて作成しています。法改正等により内容が変更されている場合があります。正確な情報や具体的な手続きについては、最新の法令をご確認いただくか、専門家へご相談ください。

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