電力自由化によって、わたしたちの生活はどう変わる!?〈デメリット編〉
多様なライフスタイルに合わせた電力プランが提供されることで、「電気料金を抑えることができる」「ガス、通信料金などとのセット割引でお得になる」と話題の電力自由化。ただ、市場が解放されるということは、多少なりともデメリットもあります。
そこで今回は、電力自由化のウラに潜むデメリットについて探ります。
最大の懸念は「質の低い新規事業者」
消費者にとって最も懸念すべきデメリット、それは「質の低い新規事業者の参入」です。電力取引監視等委員会は2016年2月19日、自由化後の電力サービスを提供する「小売電気事業者」が200事業者に達したことを発表しました。多数の事業者が参入することで、「競争が生まれ、料金、サービス面での向上が期待できる」との声もありますが、忘れてはならないのはこれまでインフラ産業に携わったことのない異業種から参入した事業者もいて、各社の態勢や保有するノウハウにはバラつきがあるという点。
もちろん、国の認可を受けて参入するわけですから、どの企業も一定の安全基準はクリアしています。ただ、それぞれの事業者の真価が試されるのは「災害」が発生したとき。
厳しい競争に耐えコストカットを実現するため、簡易な保守設備などを用意する事業者が出てくる可能性は否めません。また、なにかしらの復旧活動が必要な局面でも、人員などのリソース(経営資源)が質的、量的に確保できなくなることも想定されます。
電気は大切な“ライフライン”。自由化で料金プランに目が行きがちですが、果たして信頼できる事業者であるかを見極めた上で選ぶことが、重要なのです。
電気代が高騰する可能性がないわけではない
もう一つのデメリットは、「料金が上がるかもしれない」可能性が残されているということ。通常、自由化により事業者の間で積極的な競争が行われ、電気料金は安くなると見込まれています。しかし、逆もまた真なりで、価格は市場原理に左右されてしまうので、場合によっては一気に上がってしまうこともあります。たとえば現在、下落している原油価格が、再び高騰すれば、燃料代がかさみ、発電コストは一気に跳ね上がり、そのまま電気料金が大きく上がる可能性もないとは言い切れません。
電力自由化=停電が頻発する?
ところで、自由化によって「安定的な電気の供給ができなくなるのでは?」と不安を感じる人もいるかもしれません。事実、アメリカでは電力小売の自由化後、経営危機に陥った事業者が輪番停電(地域ごとに順番に停電を行う)を実施するといったことも起こりました。
ただし、日本においては、自由化を原因とした大規模な停電が発生する可能性は低いと考えられています。その理由の一つは、発電事業者と送配電事業者が供給を絶やさないため発電量の調整を日々行っていることなど、電気を「つくる」面においては不安が少ない点が挙げられます。さらに、小売電気事業者による電力供給が困難になった場合でも、「電力広域的運営推進機関」(小売電気事業者は加入が義務づけられる)が電力確保の措置を執ることが法律で定められ、発電事業者の“売り渋り”や小売電気事業者の経営危機・破たんによって消費者が不利益を受けることのない仕組みとなっています。
この点では、安心して別の事業者に切り換えられるといえます。
最終更新:2016/3/18
<関連ページ>
J:COM でんきのしくみ/J:COM
https://www.jcom.co.jp/service/electricity/feature/
<出典>
- 電力.net「電力自由化の問題点・課題」
http://xn--6oq38f3t0c83y.net/free/problem.php - enepi「電力自由化のメリット、デメリット」
http://enepi.jp/articles/46