知っていますか?更年期症状と更年期障害の違い
公開日:2025年7月10日

更年期には、ほてりや発汗、気分の落ち込みなどさまざまな不調があらわれます。しかし、すべての人が更年期障害と診断されるわけではなく、症状の重さや日常生活への影響の程度などから総合的に診断されます。
更年期症状は日常生活に支障をきたしている場合、早めの対処が必要です。婦人科を受診すると、症状の程度やご自身の生活スタイルに合わせた治療法を提案してもらえるでしょう。
自分の身体の状態を知り、適切なケアを受けることで、より快適に更年期を乗り切りましょう。
更年期障害は血液検査が
診断基準じゃない?
更年期障害の診断は、症状の程度や日常生活への影響などをもとに、医師が総合的に診て判断します*1。甲状腺の異常などの病気が関係している可能性*2を除外するために、血液検査を行う場合もありますが、それだけで更年期障害と診断されるわけではありません。
更年期には、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌量が急激に減少します。しかし、その影響のあらわれ方には個人差があり、ホルモン値だけでは更年期障害かどうかを判断できません。
診察では、ほてりや発汗、不眠、気分の落ち込みなどの症状の聞き取りと併せて、簡略更年期指数(SMI)*3などの指標を用いることもあります。
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ご自身の体調に合わせた治療を受けるためには、現在出ている症状を、担当の医師にしっかり伝えることが大切です。心身の不調を感じたら、手帳やアプリなどにメモを残しておくとよいでしょう。受診の際や、治療中の効果を振り返る際に便利ですよ。
更年期障害になる人・ならない人の違い
更年期を迎えるすべての人が、更年期障害を発症するわけではありません。女性ホルモンの減少は共通して起こりますが、その影響の受け方は、体質や生活環境、ストレスの有無や程度によって異なります。
更年期症状を経験する人は多いですが、日常生活に大きな支障が出るほど症状が重い場合に限り、更年期障害と診断されます。特に、仕事や家庭での負担が大きい人、ストレスを感じやすい人は症状が重く出やすい傾向にあるため、心当たりのある方は注意が必要です*1 *2。
一方で、規則正しい生活や適度な運動を習慣にしている人は、比較的軽い症状で済むことが多いといわれています。更年期の影響を最小限に抑えるためには、ご自身の体調の変化としっかり向き合い、適切なケアや治療を受けることが大切です。
更年期が近づく40歳前後からは、生活習慣を見直し、ストレスの少ない生活を心がけてみましょう。自分なりのストレス発散法を見つけることは、心の健康を保つうえでも大切です。
私はどっち?
迷ったら婦人科でホルモン検査を
更年期の不調が続いているのであれば、まずは婦人科で診察と検査を受けてみましょう。
年齢的に更年期に当てはまっていても、症状の程度や日常生活への影響には個人差があります。適切な治療とケアを受けるには、ご自身が更年期症状の範囲なのか、更年期障害と診断される状態なのかを確認し、しっかり向き合うことが大切です。
婦人科では、まず問診で症状の有無や程度を確認し、必要に応じてホルモン検査を行います。検査の方法は、血液検査です。採取した血液からエストロゲンや卵胞刺激ホルモン(FSH)の値を測定し、ホルモンバランスの変化を確認します。さらに、甲状腺の異常などの病気の可能性を除外するために、追加で検査を行う場合もあります*2。
心身の不調や体調の変化が気になる場合は、早めに婦人科を受診し、適切な治療を受けることが大切です。ご自身の体調に合わせた治療とケアを取り入れ、日常生活を快適に過ごしましょう。

執筆者
立岩 奈緒
看護師・医療コラムライター
看護師として、9年間病院で勤務。
血液内科・神経内科・整形外科・婦人科外科・泌尿器科を経験。
現在は3児の母として家事・育児に奮闘しながら、Webライターとして医療・健康に関するコラムの執筆をしています。
読者の皆さまが抱える悩みや不安に寄り添い、少しでもお役に立てる情報をお届けできれば幸いです。
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